BARISTA BOX

Weekly Coffee Commentary.

No.33

Cleopatra

Brand Information ☝️"tap"

No.33:Cleopatra

国:コロンビア

標高:1700〜1850m

エリア:バジェ・デル・カウカ県エル・アギーラ地区

品種:カスティージョ

生産者:コーセントラル農協

生産処理:ウォッシュド

プロファイル:シトラス、黒糖、オレンジ


「賽は投げられた。」紀元前49年、元老院派に背いてルビコン川を渡り、ローマ内戦が開戦。属州ガリアに入ることは、法により禁じられていました。国法を破るという、暴挙に出るその時、放ったとされるこの言葉は、覚悟の言葉として、今もなお、多くの人に語り継がれています。最後は腹心の謀反に遭い、「ブルータス、お前もか。」と世を去ったカエサルが、こよなく愛した人。それが、エジプトの至宝、クレオパトラです。今回のロットは、そんな歴史上の物語をもとに、命名されています。クレオパトラは、標高1700mから1850mの、山肌で栽培され、太平洋の強い海風と、アンデスからの山風に育まれ、寒暖差が大きい、厳しい自然環境の中で育てられます。完熟した赤実のみを、丁寧に手摘みで収穫し、農園内に湧き出る、清らかなアンデスの清水で、古典的な水洗処理を行い、サンドライで仕上げます。マイルドで雑味がなく、なめらかな深い味わいと、芳醇な香りがあります。また、やさしいフルーツの様な風味もあり、ハイローストから、シティローストで焙煎すると、とても爽やかな味わいを、楽しむことができます。このクレオパトラというブランド豆を、最初に作ったのは、バジェ・デル・カウカ県、エル・カイロ地区にあった、フィンカ・ラ・ミランダ、別名ミランダエステートという、コロンビアスペシャルティに認定された、名農園です。こだわり抜いた製法と、圧倒的な品質で、世界中から愛された農園でしたが、残念ながら、現在は閉鎖されてしまっています。この味は人類の遺産、後世に伝えるべきと、跡地やその周辺に集った、小規模農園が協力し、バジェ・デル・カウカの、エル・アギーラ地区へと生産場所を移し、カッピングを繰り返しながら、ロットを精選し、その味わいを守っています。そのミランダ・エステートの農主が、シーザーという名であったため、シーザーがこよなく愛する、すなわちクレオパトラであるとして、そう呼ばれるようになりました。単一農園のブランドではなくなったものの、シトラス系の爽やかな酸味と、クリーミーなコクのバランスを上手く再現し、その生産を続けることに成功しています。

  • 6月 第1週目 コーヒーの美味しさとは

No.34

Andes Mountain

Brand Information ☝️"tap"

No.34:Andes Mountain

国:エクアドル

標高 :350m〜600m

生産地域:マナビ県 カスコル地区

品種:ティピカ、カトゥーラ

生産者:カスコル小農家連合

生産処理:ウォッシュド

プロファイル:オレンジ、ぶどう、カカオ


エクアドルは、太平洋に面した、南米大陸の北西部、コーヒー産地として有名な、コロンビアと、ペルーの間に位置します。1830年に、コロンビア共和国から独立したエクアドル共和国の名は、赤道直下に位置することから、スペイン語で赤道を意味する、エキュアドールに由来しています。中央をアンデス山脈が縦断し、西海岸は亜熱帯、東のアマゾンエリアは熱帯雨林となっていて、南米の中でも、多様性に富んだ地理、気候を持っています。 コーヒー栽培は、1920 年から始まり、おもに山岳地帯と、太平洋側の丘陵地を中心に、約2万の農家が栽培していますが、そのほとんどは、10ha未満の、小規模農園です。アンデスマウンテンがつくられている、マナビ県、カスコル地区は、首都、キトの西側山岳地帯にあります。栄養分を豊富に持つ、火山灰を含んだ肥沃な土壌は、コーヒー豆の栽培に、非常に適しています。完熟したチェリーは手摘みされ、丁寧に果肉を剥がし、水洗処理が施され、天日を使って自然乾燥されます。原料となるコーヒーチェリーは、小農家同士が協力して、長年に渡り、安定して供給し続けています。 標高が600m前後と、中南米では珍しい、かなりの低地でつくられていて、この地域特性が、浅煎りでも酸が柔らかい、マイルドなコーヒーを作り上げる、ひとつのポイントになっています。 カリブ海のジャマイカや、ドミニカ、キューバにも似ている、風味特性もあり、明るい酸の表情が苦手な方にも、おすすめな逸品です。浅煎りでは、みかん、オレンジのようなフレッシュ感と、アーモンド香、クリーミーな口当たり、甘味があり、舌触りも滑らかで、飲みやすい印象があります。中煎りあたりから、ぶどう、カカオのような厚みと、ティーライクな柔らかさが融合。チョコレートのようなボディーと、丸みのある甘味が増します。深煎りにしても、マイルドな印象は崩れず、ぶどうの皮のような、ほのかな果実味が残ります。カラメルのような甘味が、ボディーと重たさを区別し、軽やかで、優しく包み込むような、カップに仕上がります。

  • 6月 第2週目 味が変わる豆の挽き方

No.35

Violeta

Brand Information ☝️"tap"

No.35:Violeta

国:ブラジル

標高 :1000〜1100m

生産地域:ミナスジェライス州サンアントニオ地区

品種:ムンドノーボ、カトゥアイ

生産者:サンコーヒー生産者組合

生産処理:ナチュラル

プロファイル:ワイニー、プラム、チョコレート


ブラジル、ミナスジェライス州、サンアントニオ地区の、約20農園からなる生産者共同体、サンアントニオ生産者組合、サンコーヒーが放つ、至極の逸品をご紹介。ポストハーベスト、つまり収穫後の、ユニークなプロセスでの味づくりが、注目されつつあった2015年ごろから、特別な味を作るべく、ユニークな生産方法が検討され、キャマダグロッサ、別名、シックレイヤーズ、と呼ばれる方法を生み出しました。この方法は、コーヒーチェリーの収穫後、5cmほどの山になるようチェリーを盛り、その乾燥のスピードを遅らせることで、より奥深い発酵を可能にし、濃密で、とろみのあるテクスチャーを、表現することができます。ブラジル特有の肥沃な黒土、テーラロッシャと、果肉をつけたまま乾かす、ナチュラルプロセスも合わさり、ボディーのしっかりした、腰の据わった味わいに仕上がっています。生産元であるサンコーヒーでは、収穫のタイミングと、収穫機の微調整に重きをおいていることから、未成熟なチェリーの混入が、非常に少ない状態で収穫することができ、水に浮かべて選別する、フローター選別を行う必要がありません。収穫したチェリーは、そのままアスファルトの上、いわゆるパティオに広げ、乾燥させます。現地ではこの方法を、ニュージレトダホーサ、と呼んでいます。これは、収穫したチェリーの熟度が高く、なおかつ均一性も高い、この銘柄だけができる方法です。水上でのフローター選別がない分、コストが削減でき、より新鮮な状態で、乾燥工程を始めることができます。銘柄の名称、ヴィオレッタの由来は、バイオレット、つまりスミレを意味するポルトガル語で、フレーバーで感じる、レーズンやプラムに共通する、紫やピンクをイメージして、名付けられました。名前はもちろん、それに劣らぬ濃密なカップからも、孤高の大人感、妖艶な色っぽさを、感じることができます。近年では、麻袋をロットエリアごとに変えていて、その個性的なデザインも注目されていて、インテリアや、バックとして活用されています。艶やかで可愛らしく、ヴィオレッタを象徴とする、美しいデザインとなっています。口に含んだ瞬間、ほんのりと、ワインのような香りが、口の中に広がり、繊細な酸味とともに、プラムやチョコレートを感じさせる、豊かなボディーが魅力的な一杯です。

  • 6月 第3週目 コーヒーと水の関係

No.36

Monte Blanco

Brand Information ☝️"tap"

No.36:Monte Blanco

国:コロンビア

地域:ウィラ県アセベド市ラ・トコラ村

標高:1,730m

品種:パープルカトゥーラ

生産者:ロドリゴ・サンチェス・バレンシア

生産処理:インフューズドウォッシュド

プロファイル:バナナ、ココナッツ、はちみつ


Yara Champion Program 2017 :優勝

Yara Champion Program 2018 :準優勝

Roasters United 2019:優勝

Roasters United 2020:3 位


ウィラ県南部、モンテブランコより、様々な精選方法を意欲的に行う、若きコーヒー生産者、ロドリゴ・サンチェス氏が手掛けた、特殊精選ロットのご紹介です。パイナップルやバナナ、ココナッツ、焼いた麦芽、サトウキビ由来の黒糖、その他、発酵を促す微生物を発酵槽に投入し、トロピカルな風味を引き出した、インフューズドコーヒーとなっています。モンテブランコ農園の現オーナー、バレンシアさんは、祖父から続く、伝統ある農園を経営しています。彼は、この農園を皮切りに、ウィラ県の周辺地域に、複数の農園を買収しました。様々な農園を所有しているからといって、手を抜くことは決してなく、木の発芽から生育、収穫、精選、輸出までの全過程を、ご自身でまとめて主導しています。農園の気候は、平均気温16度から22度、日照時間は、年間1,700 時間で、コロンビアの平均に比べ、300 時間ほど長く、コーヒーの木に、日光を当てることが出来ます。また、農園内には、自社のウォッシングステーションや、果肉の除去、いわゆるパルピングを行うためのウェットミル、放射状に広がった、ハンモック式の乾燥場、いわゆるアフリカンベッドといった設備に加え、インフューズドのような、特殊精選を行うための、低温発酵用の発酵曹、10度から14℃に設定された冷蔵室、無酸素発酵、いわゆるアナエロビック・ファーメンテーションを行うタンクだけでなく、ナチュラル精選の発酵に特化した、専用のタンクまで完備されています。最高の環境で作られた、最高のインフューズドを、お楽しみください。

  • 6月 第4週目 カッピングに挑戦

焙煎師への質問・ご要望