BARISTA BOX

Weekly Coffee Commentary.

No.21

KONGONI

Brand Information ☝️"tap"

No.21:KONGONI

国:タンザニア

エリア:北部 ンゴロンゴロ国立公園付近

標高 1,600~1,700m

品種 ケント、ブルボン、SL39

生産処理:ウォッシュド

生産者:アガワルさん

プロファイル:みかん、ザクロ、ヘーゼル


環境保全地区でお馴染みのタンザニア・ンゴロンゴロ。この名前から分かる通り様々な野生動物が暮らしていて、その中で伝統的な牧畜も行われています。そのンゴロンゴロ国立公園の周辺部で作られているのが今回のロット。ンゴロンゴロ地域はタンザニア北部、キリマンジャロから100kmほど西にある、標高1500m前後の地域にあります。ンゴロンゴロ(Ngorongoro)とは、放牧を営むマサイ族の“コロンコロン”という牛飼いベルの音が由来と言われています。ンゴロンゴロのコーヒーは、タンザニアコーヒーの最上級ランク「AA」を更に上回る「AA++(TOP)」の最高級キリマンジャロブランド。力強いコクと香り、バランスの良い甘みと苦味、飲んだあとの鼻に抜ける甘い香りがなんとも心地いい一杯となっています。酸味とほのかな甘みは瑞々しさを持っていますが、それだけでは終わりません。何といってもコクから感じられる旨味こそ、ンゴロンゴロの魅力です。力強さはあっても決してストロング・トップなわけではなく、飲み応えを与えながらも全体の調和が取れている、エレガントバランスな仕上がりを感じます。コンゴニ農園はタンザニア北部ンゴロンゴロ国立公園のすぐ近くにあります。1920年代にドイツ人移民によりコーヒーの栽培が始まり、第二次世界大戦後にはイギリスによる農地統合が行われました。インド軍の退役軍人テレンス・コナー大佐によりコンゴニ農園と名付けられて以降、代々コーヒーの栽培が引き継がれ、1960 年代後半に現在の農園主であるアガワル家に継承されています。ヨーロッパのロースタリーからの評価も高く、国内随一とされる肥沃なンゴロンゴロ・クレーター土壌と高い標高、そして伝統品種であるケント種が織りなすタンザニア・マイルドとなっています。コンゴニ農園では、品質向上のために香味に影響を与える精選段階の一つひとつに注力しています。コーヒーチェリーが収穫したその瞬間から劣化が始まることをしっかり理解していて、パルピング処理を迅速に行ったり、乾燥中にパーチメントの温度が上がりすぎないようにカバーをかけて保護たりと、非常に丁寧な処理が施されています。

  • 3月 第1週目 生豆の分類 その2

No.22

Jungle

Brand Information ☝️"tap"

No.22:Jungle

国:ケニア

地域:中央部ニエリ地区

標高:1750m

品種:SL-28、 SL-34

生産処理:フルウォシュド

プロファイル:アプリコット、ジャム、マカダミア


ニエリ地区

東アフリカにある赤道直下の国、ケニア共和国。首都ナイロビから北に約120km、ケニア中央部に位置するニエリ地区は、アフリカ大陸で第2位の標高を持つケニア山を含む世界遺産:ケニア山国立公園と、多くの野生動物を見ることのできるアバーディア国立公園の間にあります。ケニアの中でも高品質なコーヒーが生産されることで有名な高原地帯のニエリ地区に、今回ご案内するジャングル農園はあります。農園は、1920年代に設立された歴史ある農園で、設立当時の農園周辺の自然環境から「ジャングル」と名付けられました。火山性の土壌は非常に肥沃で水はけもよく、気温も約10~28℃と、コーヒー栽培に非常に適した環境です。チャニア川とムリンガト川という2つの清流が近くに流れているため、精製に欠かせない綺麗な水を十分に確保することが出来ます。高品質なコーヒーを作りあげるための自然環境が整っている上に、世界的にも有名な農業指導のプロフェッショナルカンパニーのサポートも受けています。


ケニアコーヒー

最初に東アフリカに広まったコーヒーは「フレンチミッション」と呼ばれ、1877年にフランス人宣教師(=French Mission)がタンザニアに持ち込んだ、レユニオン島由来のブルボンとイエメン由来のモカの間に生まれた「新芽がブロンズ色のブルボン」でした。 その後ケニアの一部にも広がり、1885年頃タンザニアとの国境近くで栽培されていたのがケニアでの最初のコーヒー栽培だと言われています。1903年には、ケニアのカベテに東アフリカ初の本格的なコーヒー研究所となるスコットコーヒーラボラトリーが設立されます。この研究所は世界中から様々な品種を入手し、特徴的な品種を輩出していきます。品種SL-28は、ケニアで最も高品質と言われる品種のひとつで、スコット研究所(Scott Laboratories)の頭文字SLの28番目の品種という名が付けられています。ケニアが排出した品種は、他にもRuiru11などが有名です。1944年には、ルイル近郊にコーヒー研究所(Coffee Research Station : CRS)が設立され、ケニアのコーヒー研究の中心地となります。品種Ruiru11は、そのルイルのCRSで1985年に輩出された比較的に新しい品種です。研究所のある場所であるルイルと、最初の数字1は交配の方法、その1番目に作られた品種という意味で、Ruiru11という名が付けられています。


認証

ジャングルは、レインフォレスト・アライアンス認証を取得しています。レインフォレスト・アライアンスは、伝統的な栽培方法を用いて森林と野生生物を守り、労働者に適切な労働条件を与えている農園を認証しています。認証の主な内容は、①熱帯雨林の日陰で育てること、②野生生物を保全すること、③化学肥料の使用を管理し削減すること、④労働者に適切な労働条件を与え、地域社会全体が恩恵を受けることです。農園には様々な樹木が生え、稀少な種を含む多くの野生生物が生息しています。レインフォレスト・アライアンス認証コーヒーを選ぶことは、熱帯雨林を守ること、コーヒーの未来への投資に繋がります。ジャングル農園は、さらにグッドインサイド認証も取得しています。グッドインサイドとは、原産地や栽培農園などのトレーサビリティを重視し、信頼できる方法で生産や加工が行われているかを消費者に証明できる認証プログラムです。また、労働者の賃金・健康・安全などの確保、農薬・環境汚染・廃棄物などの管理、生産の記録や管理・公正な取引を保つなど、厳しい203項目の基準が設定されています。

  • 3月 第2週目 コーヒーノキの栽培

No.23

Lowland Gorilla

Brand Information ☝️"tap"

No.23:Lowland Gorilla

国:コンゴ民主共和国

エリア:北キブ県エドワード湖ビルンガ国立公園

標高 :1,300~2,100m

品種 :ブルーマウンテン、カトゥアイ、ブルボン

生産処理:ウォッシュド

生産者:コパーデ組合1,848名

プロファイル:ローズティー、チェリー、ライム


コンゴのコーヒー

アフリカコーヒーの美味しさの秘密と言われている大地溝帯(グレートリフトバレー)。その西リフトバレーに位置する産地がコンゴ民主共和国です。近隣国にウガンダがエドワード湖をまたいで位置し、南にはルワンダがあります。日本の面積の約6倍、世界で11番目の大きさを持つコンゴ民主共和国は、日本ではあまり馴染みのないコーヒーです。以前はザイールという名前で呼ばれていたこの国は、ほとんどが熱帯雨林に覆われた神秘の国です。首都キンシャサ付近は開発が進んでいる一方で、伝統的な暮らしを続ける民族が点在し、非常に多様性に富んだ国です。コンゴ民主共和国の中でも歴史のあるヴィルンガ国立公園では、現在危機遺産に登録されている絶滅危惧種のマウンテンゴリラやカバが見られます。他にも、コンゴの中で最大面積を誇るサロンガ国立公園も人気。自然豊かな場所で日本では見ることのできない景色を楽しむことができます。品種は、アラビカ種とロブスタ種の両方が栽培されています。ロブスタ種の起源はコンゴ盆地だといわれていて、アラビカ種はブルボン系のコーヒー豆が栽培されています。全体で見るとロブスタ種の方が、やや生産量が多くなっています。高い標高と肥沃な土壌に支えられ、生み出されるコーヒー豆は非常に高品質。一方、豊富な鉱物資源に恵まれているコンゴでは、採掘の際の森林伐採などの環境破壊が国全体で問題になっています。持続可能なコーヒーの栽培のためにも、改善が求められています。プロセスは、アラビカ種とロブスタ種によって異なり、アラビカ種はウォッシュド、ロブスタ種はナチュラルが採用されています。コンゴ民主共和国のアラビカ種のコーヒーにおける等級は「欠点数」をもとにして、ギブ2〜ギブ7でランク付けされます。数字が低いほど高品質なコーヒーとされ、中でもギブ2~3はスペシャルティコーヒーに分類されます。コンゴ民主共和国にコーヒーがもたらされたのは、ベルギー植民地時代の1900年代初めだといわれています。プランテーション農場が増え、一時は輸出している農産物のうち大半を占めるほどでした。その後、ルワンダ大虐殺や内戦が原因でコーヒー産業は衰退していきましたが、2010年過ぎから欧米やNPO団体からの支援によって、コーヒー栽培に力が入れられるようになります。生産量も次第に伸びてきていて、今後スペシャルティコーヒーの分野で注目されるようになるかもしれません。


コパーデ

コパーデ組合は、2014年に設立されました。今では女性1,732名、男性2,786名で構成されたこの組合は、それぞれの集落に設置された16のミニウェットミル(小さな加工場)を所有し、 日々品質向上に取り組んでいます。今までこの地域のコーヒーは、隣のウガンダからバイヤーが訪れ運ばれていましたが、その美味しさに気づいた小農家の方々がもっと最高のコーヒーに仕上げようと、自主的に小さな組合を立ち上げ徐々にその規模を拡大していきました。 今では、ロンドンに拠点を置く「Farm Africa」がEUプロジェクトとして、このコパーデ組合ともう一つの組合を大きく支援し、コーヒー栽培技術の向上、精選方法技術の向上、環境保全活動のための環境教育とその具体的な活動をしています。


ローランドゴリラ

コパーデ組合は、広大なビルンガ国立公園内のローランドゴリラを含めた野生動物の保護活動を中心とした環境保全をしています。ビルンガ国立公園はアフリカの中でもその歴史は古く、1925年に設立されました。マウンテンゴリラの生息地でもあり、絶滅危機にあるローランドゴリラの生息地でもあります。またアフリカゾウ、チンパンジー、ライオン、レイヨウ、そして豊富な種類を野鳥が生息しています。ビルンガ国立公園はコンゴ民主共和国の東側に位置し、その地域は数多くの紛争が起きた地域でもあります。その動乱の中、何としてもこの豊かな自然を守り抜こうと地域住民と民間セクター、国際組織が手を取り合い協力体制で活動をしています。その一環で、農業改革プロジェクトを開始し、コーヒーを含めた地域住民の生産量増加やマーケティングを行い、自然とともに生産者の生活向上を果たしています。

  • 3月 第3週目 コーヒーの旅路

No.24

SHAMS

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No.24:SHAMS

国:イエメン

地域:サアナ州マナーカ・西ハラズ地域

標高:1,700m〜2,240m

品種:ティピカ

生産処理:ナチュラル

生産者:ハラズ地域の約300の小規模コーヒー生産者

プロファイル:バニラ、マスカット


アラビア半島で唯一の生産国イエメン。17世紀、イエメンや近くにあるエチオピアの産地で収穫されたコーヒーは、イエメン南端にある「モカ港」からヨーロッパへ輸出されていました。19世紀前半にはモカの港は廃港となりますが「モカ」の名はブランド名として残り、現在の「モカコーヒー」という名が存在しています。日本の1.5倍の国土を持つイエメンではコーヒーは主要な農産物の1つ。人口約2,900万人のうち、コーヒー農家数は約30万人。

そのほとんどが家族経営で農地も1エーカー(約0.4ヘクタール)と他国の小規模農家と比べても非常に小さな生産者です。今回のコーヒー「シャムス」は現地語で「太陽」の意味。ハラズ地域の生産者が暮らすこの地域は標高が

高く、太陽がとても近く感じる事からこのコーヒーは「シャムス(太陽)」と名付けられました。シャムスは300からなる小規模生産者達が栽培したコーヒー。生産者によっては、一番規模の小さい方で250本。大きくて12,000本の木を栽培し、収穫量も生豆換算で9㎏~650㎏と小さな生産者さんの集まりです。栽培環境は暑い季節で平均最低気温が5度。平均最高気温が25度。寒い季節では平均最低気温が2度。平均最高気温が22度。収穫されたコーヒーの実は約18~30日ほど掛けて天日乾燥されます。イエメンでは2015年から始まった内戦の影響や、社会問題となっているカート(麻薬的植物)の流行により、コーヒーよりも収入の高いカート栽培へ転換する農家が増え、コーヒーの生産量が減少しています。良質なコーヒーを栽培する事で、生産者の収入を増やせるよう、留学生として日本の大学へ通っていたタレックさんは卒業後、イエメンで活動する兄と連携しながら、品質の高いコーヒーを作り、小規模の農家さん達の生活の向上と、持続可能な農業を実現するため、2018年に「Mocha Origins(モカ・オリジンズ)」を設立しました。彼らのコーヒーは環境負荷を極力抑え、500年以上続く伝統的な栽培方法を守りながらも、最新の手法を絡めながら、良質なコーヒーが作れるように取り組みを行っています。

  • 3月 第4週目 カッピングに挑戦

焙煎師への質問・ご要望