BARISTA BOX

Weekly Coffee Commentary.

No.13

KIGABAH

Brand Information ☝️"tap"

No.13 KIGABAH

国:パプアニューギニア

地域:西部高地にあるワギ盆地

標高 :1,550m

品種 :ティピカ

生産処理 :ウォッシュド

プロファイル:ハチミツ、柑橘、プラム



1550mという中米並みの高立地でよ栽培はもちろんのこと、その後の精選・選別・輸出までの保管までも、わざわざ冷涼な高地で行っているのが、ギガバ農園の特徴です。標高が高い場所で栽培されたコーヒー豆は、なぜ高品質とされるのでしょうか。それは、昼夜の寒暖差にあります。平地よりも寒暖差が大きい高標高地では、コーヒーチェリーがゆっくりと時間をかけて成熟し、引き締まった瑞々しい実をつけるからです。ゆっくりと育った豆は、通常の種子に比べて中身の詰まった「硬い豆」となり、深煎りにしても煮崩れせず風味も抜けにくいという特徴を持ちます。香りも強くなる傾向があり、主に中米エリアではこの標高の高さがそのままコーヒー豆の等級を決定づけます。出荷するその瞬間まで高地で管理し続ける取り組みは、消費者の口元に届くまで常に最高の状態を保とうとする姿勢が表れた、ギガバ農園ならではの工夫といえます。キガバ農園は肥沃な火山灰土壌をもちながらもそこを過信することなく、周辺農園から優良なコーヒーチェリーを仕入れ、その中からさらに風味の優れた豆を選抜してロットを組み立てています。この取り組みは、毎年の品質を安定させるだけではなく周辺農家へ十分な収益をもたらす一助となっていて、まさにサステナビリティな運営方法といえます。栽培されている品種は、最も原種に近いとされるティピカ種が中心で、今でも1960年ごろに植えられた当時の木が大切に手入れされ、農園に生育するコーヒーノキの大部分を占めています。また、コーヒーノキの根本をバナナの葉や干し草で覆い、土壌の水分蒸発を抑制する育成方法「マルチング」も積極的に採用し、あらゆる手を尽くして高品質なパプアニューギニアコーヒーを生み出す努力を続けています。

  • 1月 第1週目 コーヒーの品種

No.14

Bolaven

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No.14 Bolaven

国:ラオス

地域:東部アンナン山脈ボラベン高原

標高 :1,200m~1,400m

品種 :ティピカ

精生産処理:フルウォッシュド

生産者:複数の小農家

プロファイル:マンゴー、バナナ、ダークチョコレート


ラオス南部のボラベン高原は、ラオスにおける一大コーヒ一栽培地域です。古くからコーヒー栽培が盛んで専業農家も多く、海外企業の進出も増えてきています。ティピカは、コーヒーの原種に最も近いとされる希少な品種です。2000年頃まではどの農園も、品質や栽培方法にこだわらずに生産効率を重視する傾向が強く、収量の低いティピカ種の樹はほとんどが切りたおされてしまいました。しかし、国際相場に左右されない高品質のコーヒーをつくるためには、その土地にあった良い品種を残していくことが非常に重要で、そのティピカを守ろうという動きが今回のボラベンの高品質なロットを生み出しました。ティピカ種は、植民地時代にフランスからラオスにコーヒーが持ち込まれたときから大切に育てられてきました。優れた香味をもつと言われていますが、収量も少なく、病害虫、とくにサビ病に弱いという弱点があります。多収量品種に切り替える農園が多い中で、ボラベンは品質向上を最優先事項とし今もなお、ティピカの栽培にこだわり続けています。ラオス南部ボラベン高原は海抜1200m前後の高原地帯で年間雨量も豊富、さらに火山性の土壌で、コーヒー

栽培にはうってつけの土地です。栽培から加工まで、すべて農園自身で一括管理しています。

  • 1月 第2週目 コーヒーベルト

No.15

Doipangkhon

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No.15 Doipangkhon

国:タイ

地域:チェンライ ドイパンコン

標高 :1,250~1,500m

品種 :カツアイ、ティピカ

生産処理:ブラックハニー

生産者:Bean Spire社代表フアディさん

プロファイル:いちご、ベリー、モルト


ドイパンコンは、タイのコーヒー産地としては有名な「ドイチャン」のすぐ近くにあります。高品質なコーヒーの産地として知られていたドイチャンですが、知名度が高まる中でその周辺広範囲の山々のコーヒーもドイチャンとして販売されるようになりました。ドイパンコンもその一つ。ただ、近年では同じドイチャンの中でも品質のバラツキがみられるようになってきていて、せっかく高品質なコーヒーをつくっても混ぜられてしまい適正な評価を得られないということも起きるようになってしまいました。そこでドイパンコンでは、マイクロロットとしてもう少し小さなエリアの意欲ある農家で団結して、一つの産地を形成しようと取り組んでいます。「学生時代、イギリスに留学していたとき、一度も本当に美味しいタイコーヒーに出会えなかった。だから自分が作りたい。」 と話すのは、現地を仕切るBean Spire社の代表・フアディさん。タイ東北部のチェンライはかつてゴールデントライアングルと呼ばれ「ケシ」栽培が盛んだった地域の代替作物として、40年ほど前にコーヒーの栽培がはじまりました。 まだ生産量も少なく発展途上ではあるものの、タイコーヒーの未来のためにあえて品質基準の厳しい海外のスペシャルティコーヒーマーケットに注力し、品質向上に取り組もうとする Bean Spireの覚悟が表れた逸品です。ドイパンコンのコーヒーは、一つの精製場で品質管理がなされています。それを運営するのは5人の若い兄弟たち。末っ子のバスさんは人並外れたコーヒー愛好家で、一時期は街でカフェをひらいていた経験もあります。消費地が農園から近いことを生かし、コーヒーを飲む人たちがどんなコーヒーを求めているのか、その意見に耳を傾けながらコーヒーづくりの改善に取り組んでくれています。2019年のSCAJにはドイパンコン生産者の代表が来日し、直接お客さんにコーヒーを振る舞いながらアンケートをとり、ブラックハニーが人気だというフィードバックを受けて、今回の生産体制を整えました。

  • 1月 第3週目 生産処理(プロセス)

No.16

Arabian Selection

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No.16 Arabian Selection

国:イエメン

地域:バニーイスマイリ

標高:2,500m

品種:モカ種混合

生産処理:ナチュラル

生産者:Al-Hamdani社

プロファイル:赤ワイン、ドライラズベリー、カラメル


イエメンは中東アラビア半島の南西に位置し、コーヒーは同国紅海沿岸部である西部で主に栽培されています。北はサアダから南はアデン港近郊まで栽培エリアは南北に広がっていますが、コーヒー栽培に適した土地は国内全体でたったの3%ほどと言われております。もっとも生産量の高いエリアは南西部に位置する首都のサヌアになり、平均的な栽培エリアの標高は約1,000~1,700mですが、最も高いところで2,500mほどでも栽培されています。栽培品種はアラビカ種、年間降雨量は少なく精選方法はナチュラルが中心、乾燥方法は主に農家の家の屋上を使用するのが一般的です。イエメンはエチオピアのようにコーヒー生産国の中で伝統的に国内消費量も高く、全体の75%は国内で消費するとも言われています。 甘く、スパイシーな「モカ・マタリ」の代表的な味わい。標高が他のものよりひときわ高い事もあり、すべてにおいて強さを感じられるロットです。確認できているだけで80箇所にも達するイエメンの産地の中でも、首都のあるサヌア州南西部ハラズ山一帯のエリアに限定した今ロット。イエメンは超小規模農家がメインで、生豆の購入・精製・輸出に携わるサプライヤー次第で、品質が激しく異なります。近年イエメンでは、産地や生産者が明確で、高品質なコーヒーが多く出荷され始め、乾燥工程も屋根から洗練されたアフリカンベッド(高床式乾燥)に切り替えるなど、品質改善の努力も進んでいます。栽培期間中、農薬化学肥料不使用とした今回のナチュラルロット。豆の外皮を「ギシル」というコーヒーチェリーティーにするための特殊な伝統精製方式や、複雑に混じり合ったモカ種(在来種の俗称。廃港となったモカ港由来。今ロットはジャデイ種、ダワイリ種、ウダイニ種)、独特な風土が、他にはない独特の個性を生み出します。香味はとても華やかで赤ワイン、ドライラズベリー、ストロベリー、マスカット、シナモン、カラメルなどが感じられ、モカの柔らかな酸と強い甘み、立体的な香味は飽きが来ない上品な味わいです。

  • 1月 第4週目 カッピングに挑戦

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