BARISTA BOX
Weekly Coffee Commentary.
JAGUAR
Brand Information ☝️"tap"
No.25:JAGUAR
国:コスタリカ
エリア:トレスリオス地方 タラズ地方
標高 1,400~1,700m
品種 カツーラ、カツアイ等
生産者:ボルカフェ&FUNDAZOO
生産処理:ハニープロセス
プロファイル:トフィー、キャラメル、トマト
ジャガー
「中米のスイス」と呼ばれ、軍隊を持たない平和主義の国、コスタリカ。 「地球幸福度指数」No.1に選ばれたり、国をあげて環境政策にも取り組んでいたりと、独自の取り組みをすすめています。今回のロットは、近年の森林伐採によって絶滅危惧種に指定された「ジャガー」を守るためのプロジェクトとして栽培がスタートしました。コーヒー豆1ポンド(約450g)当たり、最低1セントが寄付され、森林を守る活動に活かされています。コーヒー栽培の歴史は古く、アラビカのウォッシュドは高級品として知られてきましたが、スペシャルティコーヒーの流れの中で、さらに独自性を発揮していくべくハニープロセスが考案されたり、トレーサビリティの向上を目指したマイクロミル革命など工夫を重ね続けています。
イエローハニー
5段階あるハニー製法の中でも、甘味とのバランス感を重視したイエローハニーで仕上げられています。サンホセ郊外にあるサンディエゴ工場にて、1週間以上の乾燥工程を経て、適切な水分値まで下げられる間に甘味成分が豆の中へ浸透し、柑橘感やキャラメルフレーバーとともにまろやかな口当たりと繊細な口当たりを醸し出します。ハニープロセスは、どれだけのミューシレージを残しているかでブラック・レッド・イエロー等の色が決まるとされていて、糖度の高いミューシレージを晒す分腐敗しないよう乾燥時の入念な管理が必要となります。
生産者
ボルカフェ・コスタリカは、サスティナブルコーヒーを扱う企業として有名です。2010年から開始されたこのジャガーコーヒープロジェクトは、高い品質水準を満たした1,500m以下の小農家が育てた完熟チェリーのみを使用して作れらています。関わる小農家の方々や、そのコミュニティの向上、環境保全も含めて製品の基準値を設けています。ジャガーコーヒーは東南アジアで行われている伝統的な精選方法で作られていて、手選別、自然発酵を行い、機械乾燥ののち天日乾燥という手順を踏み輸出されます。FUNDAZOOは土壌研究、生態系管理、環境教育を通した自然環境の保全活動を行なっている団体です。学生へのワークショップ、植林、動物園の環境改善、展示会等を開催するとともに、各団体との協力体制つくり、自生植物の保護団体や、環境保全委員会などと活動を行なっております。ボルカフェ・コスタリカは、ジャガーコーヒーの売り上げに対して1ポンド(約450g)あたり1セントの寄付を行い、その寄付金は保全活動・研究分野に活用されます。またこの協力協定は、一般消費者がこのコーヒーを購入することによって、コスタリカのジャガー保護の活動に貢献することを意味します。
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4月 第1週目 コーヒーの国際取引
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Honey Oaxaca
Brand Information ☝️"tap"
No.26:Honey Oaxaca
国:メキシコ
エリア:メキシコオアハカ州
標高:1,200~1,300m
品種:ティピカ、ブルボンなど
生産者:UNECAFE(Unidad Ecológica para el Sector Café Oaxaqueño S.C.)
生産処理:フルウォッシュド
プロファイル:青リンゴ、サクランボ、マーマレード
日本の国土面積の約5倍の広さをもつメキシコのコーヒー産地は、湾岸のベラクルース州、太平洋側中南部のオアハカ州、グアテマラ国境沿いのチアパス州の3つに分けることができます。それぞれの土壌や天候などの環境が、異なる味覚特性を作り出します。一般的にはベラクルース州産はフルーティさや華やかさを持っていて、オアハカ州産はユニークさ、チアパス州産は高地産の良質な酸味を有しチョコレートやベリー系の風味を持つコーヒーが産出される特徴があります。メキシコは、その国土面積や地理的環境から、世界有数の生物多様性に富んだ国の一つとして知られています。コーヒーの木のほとんどが熱帯雨林内で栽培されていて、生い茂る森がシェードツリーとしての役割も果たしながらうまく共存しています。通常は産地ごとに分けて輸出されることはなく、その産地が規定標高以上であるという「AL(Altura)」という格付けがなされて流通しています。今回のロットは、オアハカ州のウネカフェ生産者組合に加盟する小規模農家の方々によって作られています。ウネカフェ生産者組合とは、加盟生産者家庭の経済とライフスタイルを向上させるために活動する、持続可能な高品質のコーヒーを生産する組織です。加盟農家は苗木の提供や農園管理全般のトレーニングを受けることによって、小規模農家でありながら品質の向上と安定を実現しています。また、組合は加盟農家の健康管理や住居の整備といった、将来的に末永くこのコーヒーの生産が続けられるような支援をおこなっています。コーヒーの栽培は300軒以上の加盟先住民小規模生産者によっておこなわれていて、ティピカやブルボンといった伝統的な栽培品種が中心。収穫後、各農家でドライパーチメントまで仕上げられるこのコーヒーは、パーチメントの天日乾燥をペタテというヤシの繊維を編んで作られる敷物の上、もしくはコンクリートのパティオ(中庭の意)にておこなっています。ペタテの上で乾燥させる方法はオアハカ州の先住民コーヒー農家で伝統的におこなわれてきた工程で、現地ではこの方法によりハチミツのような風味に仕上がると言われていることから「ハニーオアハカペタテドライ」と名付けられました(※精選方法は水洗式となります)。
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4月 第2週目 スペシャルティ誕生
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MALACARA
Brand Information ☝️"tap"
No.27:MALACARA
国:エルサルバドル
エリア:サンタアナ、アパネカ、ラマテペック
標高:1370-1800m
品種:ブルボン
生産処理:ウォッシュド
生産者:ホセ・ギジェルモ・アルバレスさん
プロファイル:オレンジ、ピーカンナッツ、レッドアップル
130年の伝統
サンタアナ・アパネカ・ラマテペックは、エルサルバドルの良質なコーヒー産地として知られるサンタアナ火山の斜面にあり、火山性の土壌と太平洋の影響を受け素晴らしい微気候をもたらします。農園の起源は130 年前の1888 年にさかのぼり、当時コロンビアからサルバドルに移住した現農園主アルバレスさんの曾祖父の手により開墾されマラカラ農園はスタートしました。以後相続で農園を分割、マラカラ農園(Lote-A)は2005 年以降、ホセ ギジェルモ アルバレスさんとマリア アルバレス プルネーラさん(4 代目)へと引き継がれ、農園の管理、高品質のコーヒーの生産とマーケティングに従事しています。
人から始まるコーヒー
アルバレスさんは生産者として最良のコーヒーを継続的に生産するため、農園で働く人々を家族のように大切にするという伝統を守り続けています。農場には学校と診療所があり教育と健康への配慮、食事のサポートなど労働者のケアを維持しています。また、毎年かかさずピッカーの教育を行い良い報酬を支払う、農園で働く従業員は期待に応えようと一生懸命仕事をし、より良い環境が構築され続けています。2003 年に開催されたエルサルバドルCup of Excellenceの第一回大会において2位入賞を果たし、高品質なコーヒー生産へ力を注ぎ今なお品質維持向上へ向けて進化し続けています。
最高を求めて
近年ではデジタルマップを用いたアプリを活用し農園内の6区画毎の土壌、木、葉の状態を細かく分析管理する事で、適した栄養素の肥料散布をより効果的に行っています。 シェードツリーのメンテナンス、肥料、病害虫対策、どれか1つでも欠ければ良いコーヒーができないという考えのもと、全ての工程に細心の注意を払っています。特にピッキングは重要で、収穫後のチェリーを粗選別したのち改めて再選別を行います。再選別を終えたチェリーも、運搬時に傷がつかないよう運搬時の1袋当たりの重量を、通常ロットだと約70kgのところを、マラカラは34.5KGと半分にしています。こうした1つ1つのケアは、マラカラ農園に関わる従業員全員の一年間の努力を無駄にする事無く最良のコーヒーを作りたいという願いでもあります。エルサルバドルにとってコーヒー産業は大きな役割を果たします。労働者の生活を守る為にもコーヒー生産を続けていくことが使命だと語る、農園主のアルバレスさん。その前向きな姿勢、キメ細かな対応、アルバレスさんのおおらかな人柄が、このコーヒーが持つクリーンカップで甘くマイルドな風味に表れています。
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4月 第3週目 サスティナブル誕生
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Crystal Mountain
Brand Information ☝️"tap"
No.28:Crystal Mountain
国:キューバ
地域 :エスカンブライ地区
標高 :800~1,000m
品種 カトゥーラ、カティモール他
生産処理:フルウォッシュド
生産者:小農家協働
プロファイル:ラズベリー、カカオ、カシューナッツ
キューバ共和国
キューバはカリブ海にある島国です。 1959年の革命以来社会主義国であり、カリブのほかの島にはない独特の魅力にあふれています。 内陸部には山脈が走り、数多くの世界遺産があります。 また、カリブ海沿岸にはエメラルドグリーンの美しいビーチリゾートが点在しています。キューバのコーヒーの生産は、1740年代後半にスペインのドン・ホセ・ヘラベルトがハイチから持ち帰ったコーヒー苗を、ハバナの近郊に植えたのが始まりとされています。キューバでは国土全体でコーヒー豆の生産を行っていて、オリエンテ州やサンタクララ州などが主な生産地です。これらのエリアは標高350~500mほどですが、日中と夜の気温差が10度ほどあるため、コーヒーの実が引き締まり美味しいコーヒー豆になります。クリスタルマウンテンを栽培しているエスカンブライ山脈は標高約1,000mで、こちらも昼夜の気温差が10度以上を記録する恵まれたエリアです。年間降水量が1,990mほどあり、5月〜10月までが雨季、11月〜4月は乾季と気候もはっきりとしていて、山の斜面で栽培しているため年間の日照量も適量です。土壌には有機物が5%も含まれており、コーヒーノキを栽培するのに適した環境と言えるでしょう。しかしキューバはカリブ海の中心に位置しているため自然災害が多く、生産量が安定しないという問題も抱えています。
褐色の神酒
クリスタルマウンテンが栽培されているエスカンブライ山脈は水晶の産地としても有名な山脈で、そのことからクリスタルマウンテンと呼ばれています。エスカンブライ山脈で収穫される生豆のすべてが、クリスタルマウンテンになるわけではありません。クリスタルマウンテンの産出国であるキューバでは、生豆の大きさによって等級分けが行われています。粒の大きさが16インチ以上はAL、17インチ以上はTL、18インチ以上はETLと分類。クリスタルマウンテンはETLよりもさらに上の等級で、非常に厳しい規格で選別されています。クリスタルマウンテンは、キューバのコーヒー豆生産量の3%ほどしかなく非常に希少価値が高いという特徴があります。焙煎前の生豆は、美しい「エメラルドグリーン」。スクリーンサイズが最低でも18インチなので、非常に大ぶりで形の整った豆だけが選抜されています。味わいとしては、ほのかに酸味があり、まろやかなコクと甘味があとから口いっぱいに広がります。カシューナッツのような香ばしさと、クリアでベルベットを思わせる柔らかい口当たり。キューバのコーヒーについて、キューバ独立の父と呼ばれるホセ・マルティは、「我々のコーヒーは豊かな神の酒(ネクター)であり、炎の無い柔らかな火のようであり、燃える事は無いが血液を活気付かせ、精神を整える」と語ったとされています。水晶の山の“褐色の神酒”と呼ばれる「クリスタルマウンテンコーヒー」。その優雅な香りと味わいをお楽しみください。
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4月 第4週目 カッピングに挑戦
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