BARISTA BOX
Weekly Coffee Commentary.
Letefoho
Brand Information ☝️"tap"
No.45:Letefoho
生産国:東ティモール
エリア:エルメラ県レテフォホ郡レヌマタ村
標高:1400〜1800m
品種 :ティピカ、カティモール
生産処理:ウォッシュド
生産者:レヌマタ村小農家10世帯
プロファイル:りんご、チェリー、アーモンド
レヌマタ村は、東ティモールのレテフォホ郡、その山奥にある小さな村で、約20世帯のコーヒー生産者が暮らしています。東ティモールは子どもの割合が高い、いわゆる多子若齢化社会で、1世帯あたり、約8名の子どもが暮らしていると言われています。今回お届けするレヌマタコーヒーは、その中の10世帯の生産者たちによりつくられた、マイクロロットとなっています。生産が行われている現地まで、ほとんど舗装されていない、デコボコしたせまい山道を車で走ります。住人のほとんどがコーヒー農家で、収穫からウォッシュド処理、薄からに包まれた、パーチメントコーヒー豆に仕上げるまで、この村の中で行われています。コーヒーの木が植えられているエリアは、村から歩いて約5分ほどの、標高1400mから1800mの、山の斜面に広がっています。完熟したチェリーを中心に、傷がつかないよう、すべて丁寧に手摘みで収穫。樹上の高い場所にあるチェリーは、日陰を作ってコーヒーノキを保護する、いわゆるシェードツリーの役割を果たしている、竹をはしごがわりに使って収穫します。レヌマタ村には、ビオポリという装置が、数多く設置されています。ビオポリとは、土壌に垂直に穴を開け、コンポストと呼ばれる、堆肥をつくるための容器を設置し、生ゴミなどの有機性廃棄物を入れて、自然の力で土を豊かにする装置です。化学肥料を使わずに、コーヒーの木に必要な栄養を与えられるよう、ファームエリアのあらゆる場所に設置されています。収穫したチェリーを村に持ち帰り、家族総出でピッキングし、完熟したチェリーだけを選別します。手で選別したチェリーを、水の入った樽の中に入れ、水に浮いてきたチェリーを取り除く、フローター選別を行い、チェリーの果肉を取り除く、パルピングの工程に入ります。パルパーと呼ばれる果肉除去機は、村に住む職人が、木を使い、一つひとつ丁寧に手作りしています。チェリーに水をかけながらハンドルをまわすと、手前に果肉がとれた豆が出てきます。除去された果肉は、パルパーの後ろ側に出て、そのまま畑で、肥料として再利用されます。果肉を除去した豆を発酵槽に入れ、フタをした密閉状態で、72時間発酵させます。豆の周りに付着している、ヌルヌルした粘液質の物質、ミューシレージが、サラサラになったら、天日干しで2週間ほどかけて乾燥させます。夜は露で濡れてしまうため、毎日夕方にら屋内に閉まい、また翌朝出して干しています。非常に地味な作業ですが、最高の品質に仕上げるために、レヌマタ村の農家が、大切にしている工程です。こうして乾燥まで終えた豆のことを、パーチメントコーヒーと呼びます。パーチメントとは、生豆を覆っている薄い殻のことで、この殻を割る作業のことを、脱穀といいます。レヌマタ村では、このパーチメントコーヒーに仕上げるところまでを、一家総出で行っています。その後、首都ディリにある大きな工場へ持ち込まれ、脱穀された後、港へと運ばれて輸出されます。ハイローストからシティローストあたりで、明るく鮮やかな果実味が、強く感じられます。まろやかでやさしい苦味と、ほのかな甘みのバランスが絶妙で、深煎りにしても、ローストしたアーモンドや、カカオのような甘味がしっかりと残り、キレがよくすっきりとした印象が消えません。小さな村が生み出した、丁寧な一杯をお楽しみください。
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9月 第1週目 生まれ変わる豆
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BOKA
Brand Information ☝️"tap"
No.46: BOKA
生産国:パプアニューギニア
標高:1700-1850m
エリア:イースタンハイランド州アイユラ地区カイナンツ
品種:アルーシャ、ティピカ他
生産処理:ドライウォッシュド
生産者:ニコル・コルブラン(バロイダ農園)
プロファイル:マンダリンオレンジ、ベリー、レッドアップル
パプアニューギニア中東部、イースタン・ハイランド州にあるアイユラは、パプアニューギニアで、初めてコーヒーが栽培された場所で、その出自は1940年代まで遡ります。当時、ドイツの使節団が、この地にタンザニア、ジャマイカから、コーヒーの苗木を持ち込んだのが始まりとされていて、タンザニアで生まれたティピカ変異種である、アルーシャ種と、ブルーマウンテン系のティピカ種が植えられました。1963年、ニュージーランドから、家族でイースト・ハイランド州、カイナンツに移住した、ベン・コルブランさんは、この地域のコーヒー生産の、パイオニアと呼ばれています。当時の政府が推奨する、外国人農業従事者として、先住民から土地を購入し、この谷間でコーヒーを栽培する、最初の一人となりました。農園近くの川の中にある、大きな岩に宿る精霊、バロイダから、農園名が名付けられました。そして少しずつ農園を広げ、豆から果肉を剥がす施設、ウェットミルを開設。コルブラン・コーヒーランズという名前で、地域で有名なコーヒー生産者となります。1997年より、息子のニコル氏がオーナーとなり、バロイダ農園からボカ農園へ拡大、そして地元の小生産者とも協力しながら、ロット管理、丁寧な選別と生産処理プロセスを行い、高品質なコーヒー生産を行っています。パプアニューギニアでは、言語や民族の多様性から、農家を協同組合に組織化することが、特に困難だと言われています。また、1960年代に、ベン・コルブラン氏のように、コーヒー農地を開拓した零細生産者が多く、パプアニューギニアの年間生産量の、85%以上を、こうした小農家が占めています。また、そのほとんどが、標高1500mを超える高地で、アラビカコーヒーを栽培しています。こうした実情を踏まえて、コルブラン・コーヒーランズでは、機械化が進まない、高地の生産者たちに、ウェットミルサービスを提供しています。チェリー状態での取引は、小農家にとって、パーチメント状態より収入が少ないものの、ウェットミルでの専門的な選別や、生産処理、乾燥方法が用いられる事で、品質管理をより徹底することができます。その結果、より高い品質のコーヒーが、より高い価格で販売されるようになり、チェリーを売った小農家に対して、より多くの対価を支払うことが、できるようになっています。収穫期になると、バロイダ・ウェットミルの集荷場では、持ち込まれたチェリーの選別と、品質チェックが忙しなく行われ、生産者にその場で代金が支払われています。こうしたチェリーの品質チェックも、品質向上の一助になっています。持ち込まれたチェリーは、生産者や地域によってロット分けがなされ、トレーサビリティを維持したまま、生産処理が行われます。丁寧に選別されたチェリーは、ディスク式のパルパーで、果肉除去が行われます。その後、発酵槽で36時間の発酵によって、ヌルヌルのミューシレージ成分を分解します。この時、水を使わないドライ発酵を採用しているのが、このロットの大きな特徴です。発酵を終えた発酵槽に水を貯めて、攪拌しながら水洗する事で、ミューシレージを完全に取り除いた、綺麗なウェットパーチメントが作られます。乾燥工程は、地面に広げられた、タープと呼ばれるシートの上で行われ、乾燥ムラが出ないよう、頻繁に攪拌をしながら、太陽光を使って乾かす、伝統的手法で行われています。
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9月 第2週目 フードファディズム
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Asli
Brand Information ☝️"tap"
No.47:Asli
生産国:インドネシア
エリア:ジャワ島 バンドゥン地区 タンクバンプラフラマウンテン
標高 :1600~1800m
品種 :ティピカ
生産処理:ナチュラル
生産者:パック・ヨゼフ氏
プロファイル:ぶどう、ミルキー、アプリコット
ジャワ島の西部、バンドゥンという街から出発し、近年も噴火のあった火山地域を、オフロードジープで4時間ほど揺られた、山の奥深くに今回の農園は位置しています。アスリとは、現地の言葉で「本物の」という意味を持っています。使われている品種・ティピカは、アラビカの原種の1つで、エチオピアからイエメンに渡り、インドを経て、このジャワ島に伝わり、その後ここから持ち出された、1株のティピカ種から、現在世界中に分布する、コーヒーが派生したと言われています。今回のロットは、現地で農園を営む、パック・ヨゼフさんによる、マイクロロットとなっています。ヨゼフさんは、古くから残るティピカの木を厳選し、その特性を最大限活かした精製方法を見つけようと、日々奮闘しています。近隣の小農家にコーヒー栽培技術を指導し、生産者側での品質向上を目指し、コーヒーだけでなく、野菜や花などの農業にも携わり、オフシーズンの経済活動として、近隣の農家に指導したりもしています。また、市場平均の1.5倍の価格で買い取ることで、超完熟の優良チェリーを確保するよう努めています。そして、スラウェシ大学農学部教授と共同開発した、乳酸菌を乾燥時に噴霧して、乳酸菌発酵を促すなど、ナチュラル特有のフレーバーを、さらに向上させる試みも行っています。乳酸菌を使った発酵は、マロラティック・ファーメンテーションとも呼ばれ、高品質なワインで、よく行われている製法です。通常よりも角の取れた、まろやかな味わいになるため、ボディー感や、甘味を重要視する場合に、よく用いられる手法です。
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9月 第3週目 コーヒーのペアリング
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Bani Mattar
Brand Information ☝️"tap"
No.48:Bani Mattar
生産国:イエメン
標高:1500〜1800m
エリア:バニーマタル地方ゴールデンマタリ
品種:アビシニカ原生種
生産処理:ナチュラル
生産者:バニーマタル生産者組合
プロファイル:赤ワイン、ミルクチョコレート、スィートスパイス
イエメン内陸山岳地方、標高1000mから3000mの段々畑で、モカコーヒーが生産されています。かつて、イエメン・モカ港から輸出されていたことで、モカの名で呼ばれるようになったこの地域の中でも、特に有名な産地が、アラビア語で「雨の子孫達」を意味する、バニーマタル地方です。この地方は、その名の通り雨が多く、頻繁に霧がかかることでも有名です。バニーマタルの木は原生種に近いため、生み出されるロットは、素朴でありながら気品のある、香り高い味わいを醸し出すことで知られています。又、乾いた豆が金色に見えることから、この地域の豆は、ゴールデン・マタリとも呼ばれ、世界中でプレミアム価格で取引されています。モカは紅海に面した、イエメンの小さな港町の名前です。1628年のある日、この港でオランダ商船に、40袋のコーヒー豆が積み込まれました。これが、ヨーロッパ人が買った、最初のコーヒーでした。ただし、当時まだヨーロッパでは、コーヒーを飲む習慣がなかったため、この豆はペルシャ、インド方面に売られました。1661年、アムステルダムで最初にコーヒーが売り出されました。もちろんこれも、モカから積み出されたコーヒーでした。その後、ヨーロッパ人は、安いコーヒーを大量に確保するために、それぞれの植民地にモカ」の豆を持って行き、コーヒーの栽培を始めました。現在、南アメリカや東南アジアで栽培されているコーヒーの多くは、もともとこうしてイエメンから運び出されたと、一説には言われていて、イエメンは世界のコーヒーの母国とされています。
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9月 第4週目 カッピングに挑戦
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