BARISTA BOX
Weekly Coffee Commentary.
Aurora
Brand Information ☝️"tap"
No.41:Aurora
国:グアテマラ
エリア:コバン サンタクルスベラパス
標高:1650m
品種:カトゥーラ
生産処理:ウォッシュド
生産者:コバン50世帯小農家
プロファイル:レッドアップル、ブラウンシュガー、ミルクチョコレート
オーロラ農園があるコバンエリアは、首都・グアテマラシティから、およそ150km北に位置しています。山々に囲まれた盆地で、そこにカリブ海からの、温暖で湿った空気が流れ込むため、年中霧が多い町として知られています。コバンには熱帯雨林が、いまだ手つかずの状態で残っています。固有種を含む、179種類の鳥類がいると言われ、まさに鳥の楽園です。そんなコバンの地域住民自治体に、大切に保護されているのが、クビワキヌバネドリ。赤い色をしたお腹に、白と黒のボーダーラインのシッポ、とても綺麗で、色鮮やかな鳥です。現地では、その鮮やかさから、親しみを込めて、オーロラと呼ばれています。もともとは、ドイツ系の移民によって、1887年につくられた、オーロラ農園でしたが、月日を経て、2014年に、現在の農園主、アルドさんへと引き継がれました。園内には、カトゥーラやマラゴジッペ、ゲイシャ、パカマラなど、様々な品種のコーヒーが、栽培されています。オーロラ農園の特徴は、環境負荷を考慮した、農園経営に取り組んでいるということです。緑を切り拓いて灌漑設備を作るのではなく、豊富にある雨水を、そのまま農園で使用し、水力発電や太陽光発電によって、園内で使用する電力を、自らまかなっています。アルドさんが目指しているのは、経済的に自立したビジネスとして、コーヒー栽培ができる農家を、たくさん育てる、ということです。グァテマラでは、地域間や民族間での所得、貧困格差が広がっている、といわれています。栄養不良や就学率の低さ、識字率の低さが、その主な原因で、特に先住民の多い地方の農村で、その数が増える傾向にあります。地方都市のコバンも、例外なくこうした課題を抱えています。オーナーのアルドさんは、「グァテマラ人は働き者だが、活躍の機会が限られている。だからこそ、コーヒーの生産者へ、公平な価格の支払いによって、地域社会に貢献していこう、農家がより良い生活をできるよう、買い付けを進めていく」と語っています。そうして始まったのが、オーロラスタジオプロジェクトです。コバンの土地から、貧困をなくしていくため、売り上げの一部を、コーヒーの生産に必要な、水のフィルターやソーラーパネル、ストーブなどの設置に充て、周辺農家への、公平な還元を行っています。こうした取り組みの輪を広げ、今までに関わった農家は、50世帯を超えました。グァテマラを愛するということは、人を助けるということ。アルドさんとルシアさんが、3人の子どもたちに、教えていきたいことだそうです。日々、農家のもとへ足を運び、自ら手を動かすアルドさん。グアテマラコーヒーの、さらなる飛躍は、ここから始まっていくかも知れません。
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8月 第1週目 コーヒーのパートナー
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SANTA ANA
Brand Information ☝️"tap"
No.42:SANTA ANA
生産国:ニカラグア
エリア:ヒノテガ県 ラ・フンダドーラ地区
標高:1200m
品種:カトゥーラ、ビジャサルチ
生産処理:ウォッシュド
生産者:アイダ・リラ
プロファイル:オレンジ、ぶどう、さくらんぼ
主要産地、ヒノテガ地区は、ニカラグア北部に位置し、首都・マナグアから、車で3時間ほどの場所に位置します。国内では、全体のおよそ40%の生産量を誇る、一大コーヒーエリアであり、隣接する、ホンジュラス国境付近の、ヌエバセゴビア、マタガルパとともに、高品質なコーヒーがとれる、優れたエリアとして、世界でよく知られています。サンタ・アナ農園は、ヒノテガ地区に位置する、90年以上の歴史を持つ、伝統ある農園です。3代目農園主・リラさんは、農園内の母屋で生まれ育ち、父親からこの農園を受け継いでから、およそ30年以上、変わらぬ愛情をもって、コーヒーを栽培してきました。 農園内には小川が流れ、多くの動物や、昆虫たちが生息するなど、自然豊かな環境を有していて、レインフォレスト・アライアンスなど、サスティナブル認証も取得しています。レインフォレスト・アライアンスは、1987年に設立された、国際的な非営利環境保護団体で、人と自然が調和し、繁栄できる世界を創造することを、目的としています。農園の環境、土壌・水を含めた天然資源、生態系や生物多様性を守り、労働者の労働条件や、その家族、地域社会を含めた教育、福祉などの、厳しい基準を満たした農園や製品に、認証を与えています。認証を受けた農園は、天然資源と土地、水、エネルギーを慎重に使用し、環境保護を促進するため、人工肥料と農薬の使用を減らし、汚染を防ぎ、廃棄物を管理します。認証マークには、アカメアマガエルのマスコットが描かれています。このカエルは、美しい環境下でしか生息することができないため、その個体数が、環境評価のバロメーターとしての、役割を担っています。このマークがついているということは、生産農園の持続可能性、その作物を輸入、加工する各企業の生産流通の方法や、トレーサビリティが確認できる、優良製品である、ということを意味しています。サンタ・アナの、100%手摘みの原料は、その熟度にもこだわり、精選工程の中でも、完熟割合を高めるべく、細かな微調整に取り組んでいます。ニカラグアは、グアテマラやホンジュラスとは、流通経路が大きく異なり、ほとんどのケースで、仲買人を通すことがありません。そのため、原料がいつ、どこで、誰によって作られたのかが明確であり、安定した品質と、トレーサビリティを得ることができます。輸出のほとんどが、大手中心の寡占市場ではありますが、いずれも品質志向であり、産地エリア近郊に、ウェットミル、ドライミルを所有していることがほとんどです。これによって、異臭リスクも少ない傾向があり、中米ブレンドパーツとしても、よく使われています。
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8月 第2週目 コーヒーの成分
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TIERRA LENCA
Brand Information ☝️"tap"
No.43:TIERRA LENCA
国:ホンジュラス
エリア:東部コパン・レンピラ州周辺
標高:1700m〜2000m
品種:レッドカトゥアイ他
生産処理:ウォッシュド
生産者:レンピラ州小規模農家
プロファイル:マンゴー、ピーチ、キャラメル
2014年、8人の女性によって設立された、農業関連会社、ティエラレンカ。コーヒー生産の機会提供と、地域の将来へのビジョンを持ち、女性の育成を重視していて、現在、ティエラレンカと提携する生産者の内、およそ80%が女性です。グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグアと国境を接する、中米のホンジュラス共和国。北はカリブ海に、南は太平洋と面している国土は、日本の1/3程度の大きさです。この国土に、東京都23区の人口と、ほぼ同様の975万人が住んでいます。スペインから独立後、メキシコへの併合を経て、グアテマラやコスタリカなどの、周辺国と共和国を結成し、1838年に、完全独立を果たしました。首都は、西南部にあるテグシガルパ、公用語はスペイン語です。国内では、伝統的にカトリックが信奉されていますが、信教の自由が、憲法で保障されています。ホンジュラスの貿易では、総輸出額の約30%が衣料品で、主な貿易相手国は、総輸出額の50%を占める、アメリカです。農業では、伝統産業である、コーヒー栽培が大きな割合となっています。加えて、アメリカ資本によるバナナ栽培も、ホンジュラスの重要な産業のひとつです。多くのコーヒー農家では、スパイスや砂糖と一緒に、フライパンで生豆を炒め、焼きあがった豆を、そのまま挽いて飲む習慣があります。また各地では、コーヒー祭りが催され、その地域らしい味わいや、スペシャルティコーヒーの、多様な味わいを楽しむ文化が、少しずつ成長しています。コーヒー栽培は、18世紀から始まっていましたが、小規模農家によって、標高の高いエリアで少量作られているだけでした。当時は、コーヒーよりも、バナナのほうが外貨獲得の、主な手段となっていたのです。20世紀に入ると、アメリカの支援を受けて、コーヒーの生産量が増加。さらに、80年代から90年代にかけて、コーヒーの生産を奨励する、法案が成立したことで、約20年で生産量が2倍に。バナナの生産量と、肩を並べるほどに増加しました。2000年以降、スペシャルティコーヒーの生産にも、力が注がれた結果、オークションで90点を超える、高級ロットも生まれています。現在は、約100万人の雇用が!コーヒーによって生み出されている、とも言われていて、その割合は、国民全体の10%以上にのぼります。生産量は約37万トンと、中米地域で最も多く、全世界では7位に位置します。栽培品種はブルボン、カトゥーラ、カトゥアイなどで、銘柄としては、中米で最初に産地呼称制度を取り入れた、マルカラが有名です。ほかに有名な地域は、サンタバルバラ、そして、今回のティエラレンカが生産されている、コパンです。ティエラレンカは、コパン・レンピラ県の1700mから2000mと、標高の高いエリアで栽培されています。国土の70%以上を山地が占めていて、その割合は中米随一です。山地の約半分が900m以上の高原と、コーヒー栽培のポテンシャルが、元々高かったため、20世紀後半からは、アメリカの支援もあり急成長しました。高原部は、乾季と雨季のある温暖な気候で、5月から7月と、9月から10月に、2度雨季が訪れます。収穫は、雨季の重なる11月から3月に行われるため、ウォッシュドプロセスが選択されるとともに、天日乾燥と機械乾燥を併用します。中米では、毎年6月から11月がハリケーン・シーズンのため、しばしば大型ハリケーンによる被害を受けてきました。特に1998年は、10月に発生したハリケーン、ミッチによって、コーヒー生産の80%が、失われたともいわれています。それほどに、ハリケーンはコーヒー栽培にとって、脅威となる存在なのです。生産される地域によって、その土地の特性が表れていて、名産地のエルパライソのコーヒーは、甘い香りとソフトなボディ、柑橘系の味わいと、長い余韻が特徴です。ティエラレンカがある、コパンエリアは、チョコレートのような甘さ、クリーミーなボディ、甘い余韻が後を引く、バランスのよい味わいが特徴で、今回のロットにもこの風味が、よく感じられたかと思います。
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8月 第3週目 コーヒーのアート、焙煎
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Winey
Brand Information ☝️"tap"
No.44:Winey
国:ドミニカ共和国
エリア:バラホナ バルオコ東部
標高 :700m~1400m
品種 :ティピカ
生産処理:ナチュラル
生産者:リリオス農園他小規模農家
プロファイル:赤ワイン、クランベリー、カカオ
このクロップの、メイン農園となるリリオス農園は、バラホナ州に存在し、ドミニカ共和国の南西に位置します。山と海が恋人のように寄り添ってつづく、バラホナ海岸には、数百本の川が注ぎ込んでいます。バラホナという地名は、植民地時代に、スペイン人のバラホナ伯爵が、ここに留まったことに由来するそうです。また、サントドミンゴ島のスペイン領地に、初めてコーヒーがもたらされたのは、1735年頃のことで、まさにバオルコ山脈の東部、このクロップの栽培エリアに、持ち込まれたといわれています。現地の年間平均気温は26度、年間平均降水量は2296mmで、コーヒーに優しい、温かい気候の中で、栽培されています。この地域には、高い緯度と、カリブ海から吹き込む、そよ風が重なり合うことによって、寒暖差が大きくなり、果実の熟成時間が長くなる傾向があります。そのため、コーヒーに限らず、さまざまな栽培作物で、非常に独特な甘い風味が生まれます。地域農園では、化学肥料の低消費や、手作業による雑草の防除、さらにはシェードツリーによって、日光の光量を70%に抑え、有機肥料として果肉を使用するなど、高品質なコーヒーが育つ、素晴らしい環境が整えられています。砂糖を必要としない、甘いコーヒーをコンセプトに作られた、今回のロットは、真っ赤に熟したチェリーを、一粒づつ、手で摘み取られています。その後、夾雑物、いわゆる異物を取り除いたのち、小屋に運んで、じっくりと乾燥させます。小屋の屋根は、日光の差し込みが少なくなるよう調整されていて、目標の水分値になるまで、約40日間かけて、チェリーをゆっくりと乾燥させます。通常、ナチュラルプロセスの乾燥は、10日~14日間程度で行われますが、倍以上の時間をかけることで、内部の発酵が活発に進み、ワインのような独特なフレーバーが生まれます。生育も、乾燥も、発酵も、美しい南国の地で、ゆっくりと仕上げられた、極上の逸品を、お楽しみください。
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8月 第4週目 カッピングに挑戦
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