BLACK BOX

Weekly Coffee Commentary.

No.47-23

Quindio Peach

Brand Information ☝️"tap"

No.47-23

Quindio Peach


銘柄:キンディオ

国:コロンビア

標高:1800〜2000m

エリア:キンディオ アルメニア地区

品種:カスティージョ

生産者:フィリペアルキラ氏

生産処理:インフューズド・ハニー

プロファイル:パッションフルーツ


ピーチとワイン酵母を使用し、フルーツワインを発酵中に加えたコーヒー。収穫されたチェリーは、生のパッションフルーツの果肉とワイン酵母と一緒にグレインプロに入れられ、72時間の無酸素発酵を行います。その後はパルピングされ、ミューシレージを残した状態で、アフリカンベッドに置かれ丁寧に乾燥されます。


Cofinet社の前身は80年以上もの間高品質のコロンビアコーヒーを扱い続けてきた、有力な輸出業者でした。そして2015年、代表のフェリペさんとカルロスさんによってCofinet社は立ち上げられ事業の拡大に舵を大きくきりました。具体的には、ウォッシュでの精製がほとんどであったコロンビアにおいて、特殊な発酵プロセスの豆を専門とする専門業者として、日々世界のトレンドを追いかけながら、世界のロースターが驚くようなクロップを生み出しています。また、同社は収穫後の工程を一挙に担うことで、農家さん達の負担を減らし、彼らが良質の完熟したチェリーだけを生産することに集中することを可能にしました。このようなサポートにより、同社とやり取りをする農家さんはチェリーの質を向上させただけでなく、収入も向上させることができ、意欲的に持続可能なコーヒー栽培に取り組めるようになりました。


まだまだ酵母の働きに関しては、研究段階ではありますが、コーヒーの味わいに影響を与える作用があるということは間違いなさそうです。カナダ拠点のラルカフェを筆頭にコーヒーの発酵専用の酵母菌を販売するプレイヤーもいよいよ現れ始め、今後のコーヒーシーンにおいて、様々な酵母の添加がトレンドになっていきそうな機運を感じさせます。


 

ジューシーな果実感とスウィートな芳香が魅力のカップをお楽しみください。

  • 華やかな甘味

No.46-23

El Pilar

Brand Information ☝️"tap"

No.46-23

El Pilar

銘柄:エル・ピラール

国:メキシコ

地域:メキシコ チアパス州

認証:RA認証取得農園

規格:SHG

品種:アナカフェ14、サチモール、マルセルサ

標高:1,200m

収穫期:12 月~3 月

加工方法:フルウォッシュド

生産者:クリスチャン・ベルトランド氏

乾燥方法:天日・機械乾燥併用

クロップ年度:21/22クロップ

プロファイル:モルト、レモン


魔法使いの山

エルピラールは、メキシコ南東、グアテマラとの国境沿いに位置するチアパス州に位置しております。この地方には、古くから魔法使いや魔女がいたという言い伝えがあり、その魔法使いが優れた土壌をもたらしたという伝説が残っています。この伝説から近隣の山々は「Wizard Mountain(魔法使いの山)」と呼ばれ、エルピラールはここに農園を構えています。

 

里芋

このエリアは80年以上の伝統と歴史がありますが、そのすべてが良い話ではなく、時に悲しいものもございます。コーヒーに関して言えば、さび病により同エリアの70%もの農園が廃業となった過去もあります。そのような酸いも甘いも経験したエリアであるこの地域に、比較的最近である2015 年、エルピラール農園の主であるクリスチャン・ベルトランド氏が地元住民への収入源をもたらすために植花活動を開始。“アンスリウム属”というサトイモの一種を栽培し始めました。里芋から始まったこの取り組みは、徐々にいろいろな植物を手掛けるまでに活動を広げ、その中でも持続可能なモデルを確立することができた作物に焦点を当て、収入と生産物の多様化を可能にするサステイナブルな取り組みを始めます。

更なる高みへ

高い収入を得る手立てとして、 品質による差別化をベースの考えとし、 植物の詳細情報と農学の知識を基にスペシャリティーコーヒー生産に着手。 コーヒー農園は一年後の2016 年に正式に営農を開始いたしました。その後ユニークなコーヒーを作るために、発酵の微細なコントロールやアフリカンベッドによる乾燥など様々な技術を導入し、美しいコーヒーを作るための努力を惜しまない農園です。現在農場の面積は30haを超えており、さらに20haを増設すべく現在改装中。今後の更なる品質向上にも期待が膨らみます。

  • 魔法使いの山

No.45-23

Inmaculada

Brand Information ☝️"tap"

No.45-23

Inmaculada

銘柄:インマクラーダ

国:コロンビア

地域:カウカ県 ポパヤン地区近郊→ヴァージェ・デル・カウカ県 カリ市郊外

規格:エクセルソ

品種:カツーラ、カスティージョ

標高:1,650m

収穫期:10月~12月メイン、4~6月ミタカ

スクリーン:14up

加工方法:ナチュラル

乾燥方法:天日・機械乾燥

クロップ年度:22/23クロップ

プロファイル:アプリコット、プルーン、ラム


WBC

コロンビア・ヴァ―ジェ・デル・カウカ県より、単一農園であるホルグイン家が生産・精選方法に工夫を重ねたハイパフォーマンスロット。インマクラーダ農園はコーヒーの世界で初めて精選方法にカーボニックマセレーション(嫌気性発酵)を導入し、 2015年のWBC世界チャンピオンであるSasa Sestic氏もその豆を使っていることで名を馳せた農園です。更に2022年にミラノで行われたバリスタチャンピオンシップでは1~3位の競技者がインマクラーダを使用したことで、一気に知名度が上がりました。

 

Family Reserve

この農園の規模はかなり小さく、近隣の栽培可能面積も非常に限られているのが現状で、農園としての生産量の拡大は残念ながら望めず、自社農園のゲイシャ種“Signature”、“Family Reserve”の2商品の品質向上、安定生産という2点に注力していく他ありません。ただ、彼らとしては多くの正規従業員を抱えるこのプロジェクトをより安定的に、より多くの従業者にとって安定した生活をもたらす取り組みにしたいという思いがあります。それは日雇いのピッカー等を使わず全ての従業員をフルタイムで雇用すること、テクノロジ―を活用しながら徹底的に管理していることからも垣間見えます。そんな中、独自で積み上げたメソッドでコーヒーの可能性を表現していきたいと取り組みを始めたのが、下の“Fellows”プロジェクトになります。

 

Fellows

拡張性に乏しく、良いノウハウを持っていながらも生産量が極小とならざるを得ない同農園が、協力する生産者団体と、地域を巻き込んで安定的な収入と高品質なコーヒーをもたらすべく始まったプロジェクトが“Fellows”です。北部、カウカ県に位置する協力生産者団体から毎朝チェリーを調達し夜に同社設備搬入、独自で設定している熟度のチェリーをマーケットより40%高値で購入(集荷日はマーケット価格を手渡しし、週末にボーナスとして支給)し、同社の設備、ノウハウで精選し品質管理を行う、新しいプロジェクトになっています。

 


普通は不十分

設定している基準に満たす協力生産者団体の選定、実現までにもかなりの時間を要しており、 また良い熟度のものは高値で取引している反面、その品質感に満たないものは市場価格よりもかなり低い(この分はFellowsとして流通させない)価格で買い取るシステムのため、十分な収入を得るためには、生産者団体もいわゆる一般的なスペシャリティコーヒー基準よりもよっぽど厳しい品質基準をクリアする必要があります。つまり、チェリーの生産において“普通に高品質”として作られたものでは不十分で、インマクラーダ基準の品質であるということになります。


純真無垢

農園が位置するカリ市郊外の山間部には3体の処女像が建てられており、その中のひとつが原罪の汚れや咎をもたない聖母マリア(ラテン語でImmaculata Conceptio Beatae Virgins Mariae)であることから、神の恵みを受けた穢れのない純真無垢で誠実な農園でありたいという願いを込め、そのスペイン語名であるInmaculadaを、全ての区画の総称ブランドとして掲げています。営農を始めた当初は、1,650~1,750mの部分であるJardines(ハルジネス)区画のみしか所有しておりませんでしたが、より良いコーヒーの生産を目指し、さらに高い1,750m~1,850mのInmaculada(インマクラーダ)区画とMonserrat(モンセラット)区画、そして最後に最高標高部分であるLas Nubes(ラスヌーベス)区画を取得し現在は4つの生産区画を有しております。コーヒー生産者としては新興農家であることから、自分たちだからこそ作りうる特徴的なコーヒーを目指し、初期のころから希少品種を実験的に植え、生産から精選に至るまで、多くの工夫を行っております。精選においては外部の知見も借り、世界で最初にカーボニックマセレーションをコーヒーに取り入れたり、ウォッシュ主体のコロンビアでより自然環境負荷の少ないナチュラルを行ったりと、品質向上に常に前進的な意欲を見せます。

No.44-23

DATERRA Reserve

Brand Information ☝️"tap"

No.44-23

DATERRA Reserve

銘柄:ダテーラ・リザーブ

国:ブラジル

地域:ミナスジェライス州パトロシーニョ市/セラード・デ・ミナス

認証:RA認証

品種:ムンドノーボ、ブルボン、他

標高:1,150m

収穫期:7月~8月収穫

スクリーン:16-18

加工方法:ブラックハニー

乾燥方法:天日・機械乾燥併用

クロップ年度:22/23クロップ

プロファイル:ヘーゼルナッツ、プルーン、メイプル


Rainforest Alliance

農園の生産が安定軌道に入り、Rainforest Alliance認証をブラジルで初めて取得した翌年の2004年以降、表現したい味を求めて生み出されてきた数多くのダテーラブランド。その中の最高峰の位置づけがこのReserveです。コーヒーの香味を構成する多くの要素を高いレベルで有するロットを選定して仕上げる、至極の逸品。

 

Collection Reserve

かつてのダテーラ農園の商品メニューがClassic、Collectionというカテゴリーにまとめられ、ほんの数ケース程度しかできない希少かつ実験的なナノロットがMasterpiecesという最上位カテゴリに昇格。かつてのNo.1ブランドであったReserveはCollectionカテゴリーの最高峰という位置づけですが、その完成度は、Masterpiecesカテゴリーとの単純な優劣では語れない、独自の存在感を放ちます。

 

From The Earth

ダテーラ社は売上の5%を寄付に充てるといった活動も積極的に行っており、社会福祉面への関心が非常に高く、農園内にはワーカーの為の住居、学校、セミナー施設、自然保護区等が整備され、持続可能な農業への意識がとても高いです。農園はブラジルのセラード・デ・ミナスにあります。平均総生産量はブラジルでもトップクラスの85,000袋、年間で5,000トン以上のコーヒーを生産し、品質や味の傾向に応じて以下カテゴリーに分け、スタンダードな汎用グレード品から、ClassicやCollectionシリーズのスペシャルティコーヒーまで幅広く生産しています。この農園は農園内にウェット・ドライの全てのミルがあり、生産から輸出まで全て一貫して農園内で行うことができます。栽培は全てトレーサブルで、GPSを使い土地を細かい区画に分けて管理しており、肥料散布、収穫がいつ誰の手で行われたかまですべて情報管理がなされております。"DATERRA"という農園名は、ポルトガル語で "Da Terra" から来ており、英語で言う、"From The Earth"の意味。この農園名にこめられた想いは、母なる大地である自然環境を守りながら、そこから生まれるコーヒーを地球の恵みとし、その価値を最大化していきたいという、農園のオーナーと、その農園で働くすべての人々の理念です。直近では2030年までに2,000万本の植樹を行うことを目標とした”Trillion project”(トリリオン・プロジェクト)や自前の教育基金を設立し、子供たちへの奨学金を提供する”Fundacao Educar”(フンダソン・エドゥカール)などRA認証が近年特に重要視しているいくつかの項目の解決にも通じうるものとして、独自の取り組みを自発的に行っています。ダテーラ農園の現在の輸出営業マネージャーのGabriel Moreira氏は、まさにこの奨学金を得て勉学に励んだ人物で、今も週末にこの基金が開講する週末の英語授業の講師を務めているなど、助け合いの精神を持つ農園です。

  • RA認証の誇り

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