BARISTA BOX

Weekly Coffee Commentary.

No.29

Malabar

Brand Information ☝️"tap"

No.29:Malabar

国:インド

標高:1350〜1450m

エリア:インド南西部マラバール・ハッサナ地域

品種:アラビカ種

生産処理:モンスーン

生産者:ハッサナ生産者組合

プロファイル:カカオ、ローズマリー、シトラス



人々が帆船で地平線の彼方を目指していた大航海時代、インドのコーヒーがヨーロッパで大流行。コーヒー豆を船でヨーロッパの港まで輸送するのにかかった時間は、約半年。この長い航海中、船に保管されたコーヒー豆は湿気を含んだ潮風に吹かれ、緑色から黄金に色が変わり、大きく膨らみ、独特の香味を持つようになりました。帆船の時代から蒸気船へと時代は変わり、スエズ運河が開通するとインドからヨーロッパまでの航海日数は大幅に短縮され、この黄金のコーヒーは姿を消しました。しかしインドコーヒーの独特の香味を懐かしみ、黄金色のコーヒーを求める声は日増しに大きくなりました。インドはこの要望に応えるために5~6月に南西から吹き付けるモンスーン(貿易風)を利用した、モンスーン・コーヒーの生産を始めました。ナチュラルプロセスを終えたコーヒー生豆を、風通しの良い倉庫で4~6インチの厚みで広げ4~6日乾燥させます。そして周囲の湿気にコーヒーが均等に晒されるよう定期的にかきまぜます。その後、袋に詰めて幾つもの列に並べます。列と列の間は充分に広げて、モンスーンがコーヒーの列の間を絶え間なく均一に吹き抜けるようにします。週に1度くらいの割合で、コーヒーを袋から出して詰め替え、袋の列を並び替えます。こうして6~7週間経つとコーヒーは黄金色に変わり、独特の香味を持つモンスーン化したコーヒーになります。コーヒーはその後、船積みのために精製加工されます。こうして出来た「モンスーン(貿易風)コーヒー」は独特の風味を持ち、欧米では定番中の定番ブランドとして多くの人に愛されています。

  • 5月 第1週目 コーヒーベルト(中南米)

No.30

Genius

Brand Information ☝️"tap"

No.30:Genius

国:ミャンマー

エリア:シャン州 ユアンガン

標高 :1,400~1,600m

品種 :カトゥーラ、カトゥアイ、サンラモン

生産処理:レッドハニー

生産者:ユアンガンの小農家

プロファイル:ハチミツ、りんご、ブラウンシュガー


アメリカでは「東洋のパナマ」と称されることもあるミャンマーのコーヒー。高品質なコーヒーができる東南アジアの新しい産地として近年注目を集めています。小規模農家が中心のユアンガンは、土壌の豊かなシャン州の中でも最大級の生産量を誇る地域。ジーニアスコーヒーは、現地の地場企業として農家とともに着実に成長を続けています。技術指導や苗木・資材等の提供環境に配慮した栽培手法や精製方法の導入にも取り組んでいます。2018年に地域最大の精選場をオープンし、ユニークな発酵方法や比重選別機の導入など、品質向上への挑戦を続けています。ジーニアスコーヒーが所有する加工場は毎年進化しています。以前は乾燥パティオ(中庭)に発酵槽が置かれていたり、砂埃が舞うなかにアフリカンベッドが置かれていたりしていましたが、現在は、ビニールハウスを増設してゆっくり時間をかけて乾燥させるとともに、乾燥中の温度管理もこまめにチェックしながら処理を行っています。発酵層には広い屋根が設置され、投入口にカバーをすることでアナエロビックファーメンテーション(嫌気性発酵)に近い状態をつくり、安定して高質な発酵を行うことができるようになりました。こういった改善を行うことによってクリーンカップ項目の評価が上がり、甘味をしっかりと感じるコーヒーに仕上がっています。また、発酵後の排水は直接川に流すのではなく、土壌微生物や植物が分解・吸収できるよう傾斜を利用してお茶畑やみかん畑の間に撒き、環境負荷がかからないような工夫がされています。「ミャンマーをコーヒーベルトに」と、熱く語る経営者ゲトゥンさんは、カッピング時のフィードバックに真摯に耳を傾け、どうやったらもっと美味しくなるかを時間を忘れて議論する、ピュアなcoffee loverとしての一面も持つ人物。ロットを手がけるサプライヤーとして掲げるポリシーは、「農家と専売契約を結ばない」ということ。毎年チェリーのクオリティを見極めた上でその年の買い付け先を選定し、量や安定よりも高い質を追い求め続けています。小規模農家との人対人の信頼関係を積み上げたうえで、選んでもらえる会社でありたいという想いを持っています。

  • 5月 第2週目 コーヒーベルト(亜・太平洋)

No.31

Kerinci Mountain

Brand Information ☝️"tap"

No.31:Kerinci Mountain

国:インドネシア

エリア:スマトラ島南部クリンチ周辺カユアロ村

標高 :1,300~1,650m

品種 :シガラルタン、アテン等

生産処理:スマトラ式

生産者:ALKO生産者組合

プロファイル:オレンジ、クランベリー、シトラス


インドネシアの新しい産地・クリンチマウンテンは、標高3,000m越えの大きな山です。栽培エリアそのものも、名産地・リントンよりも比較的高く、ほとんどが1,600m前後で栽培しています。クリンチマウンテン周辺には昔からコーヒー生産者がたくさんいましたが、そのほとんどがスタンダード等級のG1クラスに混ぜられて、この地域のコーヒーとして販売されることはありませんでした。しかし近年、若く意欲的や生産者組合が数多く作られるようになり、徐々に地域のコーヒー産業が活気付いてきました。今回のロットを手がけたALKO生産者組合もその中の一つで、代表のスルヨノ(Suruyono)さんが460世帯の農家をまとめ、彼らにスポットライトが当たるようなコーヒーづくりに取り組んでいます。組合に属する、小農家の栽培面積を全て合わせると、およそ400ha、東京ドーム85個分の広さにまでおよびます。通常のよりも木の感覚を広めにとって栽培しています。シェードツリーにはシナモンや、マンダリンオレンジ、カリアンドラを植え、それらが野生生物の住処となっています。剪定も定期的に行い、コーヒーの栽培管理をしっかりとおこなっている生産地です。シェードツリーとして植えられているオレンジの木の下でゆっくりと育つコーヒーは、インドネシアのメインブランドであるマンデリンのような、豊かな土の香り、いわゆるアーシーな風味とは全く異なるキャラクターを持ちます。まさにオレンジのような、明るく甘さのある煌びやかな酸味が楽しめます。インドネシアの主食である米の栽培も盛んに行われており、換金作物としてはコーヒーのほかに、スパイスなどが栽培されています。クリンチマウンテン周辺の山々から流れる水を、農耕や生活用水として使用しているため、自然林を大切に守ろうという風土が強く根付いている地域です。

  • 5月 第3週目 コーヒーベルト(アフリカ)

No.32

Pupumendo

Brand Information ☝️"tap"

No.32:Pupumendo

国:ネパール

地域:カブレ郡 マハバラット地区

標高 :1,200~1,300m

品種 :カトゥーラ、ブルボン

生産処理:ウォッシュド

生産者ププメンドコーヒー農業グループ

プロファイル:キウイ、シトラス、グレープフルーツ


「ヒマラヤ山脈」「エベレスト」でおなじみのネパールから、プレミアロットのご紹介。国土の77%が丘陵・山岳地帯。コーヒー生産の歴史は浅いですが、近年は海外で賞をとる農家が出るほどコーヒー生産が盛り上がってきていて、ネパール政府も力を入れ始めています。 とはいえ、まだ生産量は少なく物流も整っていないため、日本へは飛行機で輸送します。「村にいても、お金を稼げるようにしたい。農家の子どもも、ちゃんと学校に行かせてあげられるようにしたい。」ネパールの農村に暮らす若者の言葉がこのコーヒーを生み出すきっかけでした。山間の農村部では現金収入を得ることが難しく、都市部や海外へ出稼ぎに行ったり、 貧しい家庭では収入の少なさのあまり、子どもを働かせてしまったりするケースもあります。コーヒーは、開けた土地がなくても森の中でも育てることができる・標高が高いことは、コーヒー農業においては強みにもなる・コーヒー(パーチメント)は、野菜や果物より輸送中に傷んでしまう可能性が少ない・村での生活、コミュニティを守りながら、自分の家族も守りたい…などの理由から、持続可能なコーヒー生産がその1つの道筋になるのではないかと考えました。大規模な土地もない、険しい山々で道路が整っていない、海外への物流も厳しい。たくさんのハードルがあるネパールで、そんな弱みを強みに変えられるような産業作りが、今も進められています。今回の豆は、カブレ郡マハバラット地区のコーヒーです。マハバラット地区では、これまでもコーヒーの生産はされてきたものの、 農家それぞれがコーヒーを育て、収穫して、パルパーを持っている人の家でパルピングをし、その後の乾燥はまたそれぞれで行っていました。「今のやり方では、世界と戦えるおいしいコーヒーを作ることはできない」と感じていた農家たちがプロジェクトを立ち上げます。まずは、品質を管理できるように農家グループを作りました。 それが、ププメンドコーヒー農業グループです。「ププメンド」とは、マハバラットにすむタマン族の言葉で「花(メンド)のつぼみ(ププ)」という意味。 「ここのコーヒーは、まだ始まったばかりで花のつぼみのようなもの。これからこのつぼみを咲かせる。」 という思いで名付けられました。

  • 5月 第4週目 カッピングに挑戦

焙煎師への質問・ご要望