BLACK BOX

Weekly brand commentary.

No.39-23

Quindio

Brand Information ☝️"tap"

No.39-23:Quindio 

国:コロンビア

標高:1800〜2000m

エリア:キンディオ アルメニア地区

品種:カスティージョ

生産者:フィリペアルキラ氏

生産処理:インフューズド・ハニー

プロファイル:パッションフルーツ


新時代

パッションフルーツとワイン酵母を使用し、フルーツワインを発酵中に加えたコーヒー。収穫されたチェリーは、生のパッションフルーツの果肉とワイン酵母と一緒にグレインプロに入れられ、72時間の無酸素発酵を行います。その後はパルピングされ、ミューシレージを残した状態で、アフリカンベッドに置かれ丁寧に乾燥されます。


変わるコーヒー世界

Cofinet社の前身は80年以上もの間高品質のコロンビアコーヒーを扱い続けてきた、有力な輸出業者でした。そして2015年、代表のフェリペさんとカルロスさんによってCofinet社は立ち上げられ事業の拡大に舵を大きくきりました。具体的には、ウォッシュでの精製がほとんどであったコロンビアにおいて、特殊な発酵プロセスの豆を専門とする専門業者として、日々世界のトレンドを追いかけながら、世界のロースターが驚くようなクロップを生み出しています。また、同社は収穫後の工程を一挙に担うことで、農家さん達の負担を減らし、彼らが良質の完熟したチェリーだけを生産することに集中することを可能にしました。このようなサポートにより、同社とやり取りをする農家さんはチェリーの質を向上させただけでなく、収入も向上させることができ、意欲的に持続可能なコーヒー栽培に取り組めるようになりました。


鍵は酵母

まだまだ酵母の働きに関しては、研究段階ではありますが、コーヒーの味わいに影響を与える作用があるということは間違いなさそうです。カナダ拠点のラルカフェを筆頭にコーヒーの発酵専用の酵母菌を販売するプレイヤーもいよいよ現れ始め、今後のコーヒーシーンにおいて、様々な酵母の添加がトレンドになっていきそうな機運を感じさせます。柑橘系の爽やかな酸味と、ジューシーな甘味が魅力のカップをお楽しみください。

  • 引き締めるパッションの風味

No.38-23

Bereka

Brand Information ☝️"tap"

国:エチオピア

標高:1900〜2500m

エリア:シダモ地方イルガチェフェ地区

品種:アビシニカ原種

生産者:Y.C.F.C.U. (Yirgacheffe Coffee Farmers Coop.Union)

生産処理:ウォッシュド

プロファイル:紅茶、青リンゴ、マスカット、レモン


モカの発展

日本ではもちろん、スペシャルティコーヒー市場を牽引するアメリカのシアトルやポートランド等でも人気の高い、エチオピアのYirgacheffe(イルガチェフェ)G1グレード。コーヒーの銘柄としてよく耳にする、モカという言葉。これは、エチオピアの高地とイエメン共和国の山岳地帯で採れたコーヒー豆を指します。そもそも「モカ」とは紅海に面する小さな港町の名前で、昔アラビアで採れたコーヒー豆がこの港から運び出されていたため、港の名前にちなんで「モカコーヒー」と呼ばれるようになりました。イタリアなどでは今でも「モカ」とはコーヒーを指すことが多いようです。香りが良く、独特の酸味、甘み、コクを持っています。単一銘柄を楽しむ3rd Wave(コーヒーブーム第三の波)が起こって以降、モカは細分化されての表記が増え、イエメン産の「マタリ」、エチオピア産の「ハラー」、「シダモ」などの地域名が銘柄の名称としてよく使われています。 


世界のイルガチェフェ

イルガチェフェ地域はシダモ地方の標高2,000m前後の高地にあります。 なだらかな景観と昼夜の寒暖差によって、この地域独特のコーヒーが生まれます。「イルガチェフェ」とは、現地の言葉で「湿地と草」を意味します。 その言葉の通り、この地域は水源に恵まれ、良質な水洗式コーヒーの生産に適した場所です。国土全体で見ると水資源に乏しいエチオピアでは果肉のまま乾かすナチュラルプロセスが主流ですが、イルガチェフェでは厳しい品質管理のもとに選別を重ねて精製された高品質で清潔な水洗式コーヒーを生産しています。大量の水を使うウォッシュドプロセスの商品は高コストであるがゆえに高級グレードとして流通しており、G2〜G1クラスしか存在しません。香りは優しく甘さがあって、日本人に人気のあるモカ特有のフレーバーを感じることができます。 余韻は、柑橘系のクリアな清々しさが残ります。


称号:ベレカ

その中でも、ハンドピックとカッピングを繰り返し、極限まで原料の精選がされた最高ランクのロットが「ベレカ」。現地エチオピアで「尊敬」を意味するその名の通り、他のイルガチェフェロットとは一線を画すクリアなカップと煌びやかな余韻が美しい、圧倒的な品質が魅力の一杯。シトラスやレモン、マスカットの程よい酸味が伴った淡い香りと、紅茶のような清涼感が味わいの特長です。この地域で生産が始まったのは1950年代と、コーヒーの生産文化からすると比較的新しいのですが、紅茶にも 似た特徴的なフレーバーとワインにも感じられるフル・ボディーのカップ評価から、このイルガチェフェ地区のコーヒーが‘YIRGACHEFE’の名で急速に取引されるようになりました。現在ではアメリカや北欧のスペシャルティコーヒー市場で人気を博している関係から、非常に手に入れ難いコーヒーの一つにもなっていますが、あえて生産エリアを広げることなく限られた生産エリアで栽培されています。川と森と湖に囲まれた美しいイルガチェフェ地区。一杯のコーヒーカップから、心までも澄み渡るような逸品です。

  • 伝統が織りなすレモンの香り

No.37-23

Cleopatra

Brand Information ☝️"tap"

「賽は投げられた —。」

紀元前49年、元老院派に背いてルビコン川を渡りローマ内戦が開戦。属州ガリアに入ることは法により禁じられていました。国法を破るという暴挙に出るその時放ったとされるこの言葉は、覚悟の言葉として今もなお多くの人に語り継がれています。最後は腹心の謀反に遭い、「ブルータス、お前もか —。」と世を去ったこの人物が、こよなく愛した人。それが…


銘柄:クレオパトラ

国:コロンビア

グレード:スプレモ

標高:1700〜1850m

エリア:バジェ・デル・カウカ県エル・アギーラ地区

品種:カスティージョ

生産者:コーセントラル農協

生産処理:ウォッシュド

プロファイル:シトラス、アーモンド、モルト


丁寧なロット

クレオパトラは標高1700~1850メートルの山肌で栽培され、太平洋の強い海風とアンデスからの山風に育まれ、寒暖差の大きな厳しい自然環境の中で育てられます。完熟された赤実のみを丁寧に手摘みで収穫し、農園内より湧き出る清らかなアンデスの清水で古典的な水洗処理を行い、サンドライ(天日乾燥)します。

マイルドで雑味がなく、なめらかな深い味わいと香りがあります。またやさしいフルーツの様な風味もあり、ちょっと深めに焼いたのを好む方も多いみたいですが、ハイロースト〜シティロースト位で焙煎するととても爽やかにも飲めます。


美貌

気になるのはその名の由来です。このクレオパトラというブランド豆を最初に作ったのは、バジェ・デル・カウカ県エル・カイロ地区にあったミランダ・エステート(フィンカ・ラ・ミランダ)というコロンビアスペシャルティに認定された名農園。こだわり抜いた製法と圧倒的な品質で、世界中から愛された名作・農園でしたが、残念ながら現在は閉鎖されてしまっています。この味は人類の遺産、後世に伝えるべきと、跡地やその周辺に集った小規模農園が協力し、バジェ・デル・カウカのエル・アギーラ地区へと生産場所を移し、カッピングを繰り返しながらロットを精選しその味わいを守っています。そのミランダ・エステートの農主がシーザー(カエサル)という名であったため、シーザーがこよなく愛する=クレオパトラと呼ばれるようになりました。単一農園のブランドではなくなったものの、シトラス系の爽やかな酸味とクリーミーなコクのバランスを上手く再現し、その生産を続けることに成功しています。

  • 妖艶な、シトラスの香り

No.36-23

Maasai AA

Brand Information ☝️"tap"

得点:85.1点

国:ケニア

標高:1600〜2000m

エリア:キリニャガ地区

品種:SL28、SL34

生産者:ドーマン社(小規模8農園ブレンド)

生産処理:ウォッシュド

プロファイル:トマト、カシス、オレンジ、プルーン


What's Maasai

ヨーロッパで高い人気を誇る、高級豆としての地位を欲しいままにしてきたケニアコーヒー。ケニアは野性味あふれる強烈な個性が特徴的で、一言で表現するなら「強い」コーヒー。中でもMaasaiは、厳しいカッピングテストに合格した選ばれしLotのみに与えられる最高位の称号。安定した風味を維持するために、複数農園の豆をこだわって集めて配合したブランドLotとなっています。SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)の評価では85.1点という非常に高い点数を獲得。ケニアらしい芳醇で濃厚な香りと口の中に広がるボディ感が特徴的な美しい一杯。太く濃いアロマは深煎りにしても衰えを知らず、浅煎りでは野生味のある青さが気持ち良い。焙煎の腕によって様々な表情をのぞかせてくれる、素敵なコーヒー豆です。


地域と農園

標高1,500~2,000mという高さと肥沃な火山灰土壌を持つケニアは、高品質コーヒーの栽培には最高の環境。赤道直下という立地も、安定した通年収穫を可能にしています。コーヒー生産者は赤く熟した果実を丁寧に手摘みで収穫し、果実のまま加工業者へ受け渡します。各小農家で精選せず1箇所に集め一括して行うことは、品質を安定させるためにはなくてはならない工程。その後、カッピングテストにより農園毎のプロファイルを作成。ドーマン社による精選、ブレンド工程を経て、最終カッピングテストを通過したLotに初めて"Maasai"の称号が与えられます。こうしてドーマン社が手掛けるMaasaiは、数十年以上に渡って変わらぬマサイテイストを世界中に届けてきたのです。

  • ジューシーなトマトの甘味。

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