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No.12 コリオナ
No.12 コリオナ
No.12 Corriona
生産国:エルサルバドル
エリア:アパネカ・イラマテペック山脈
標高:1550m
品種:パカマラ
生産処理:ウォッシュド
生産者:ヘラルド・カセレス
プロファイル:ピーチ、黒糖、ハチミツ
エルサルバドル共和国は、中米の中央に位置する国で、北部はグアテマラ、ホンジュラスと、国境を接しています。南部は太平洋に面していますが、中米の国の中で唯一、カリブ海に面していません。国土面積は、日本の四国よりやや大きい程度ですが、人口は約630万人。アメリカ大陸にある国の中で、もっとも国土が狭く、もっとも人口密度が高いことで知られています。人口の90%が、メスチソと呼ばれる、スペイン人と先住民の混血です。首都は、国名にも似ている、サン・サルバドルという都市。国名と共通している、「サルバドル」は、スペイン語で救世主を意味し、16世紀に、スペイン軍が築いた砦に、イエス・キリストに敬意を表して、サン・サルバドルと名を付けたことが、由来と言われています。鉱物資源に乏しく、主な輸出産品は衣類で、輸出額の30%以上を占め、そのほとんどが、アメリカに向けて輸出されています。国の通貨として、2001年にアメリカドルを導入。それまで使用していた、コロンの流通を停止し、米ドルへの一本化が図られました。また、2021年には、世界で初めて、暗号資産ビットコインを、法定通貨として認める国となりました。1880年代に、コーヒーが持ち込まれ、それまでのインディゴに置き換わって、主要輸出産品となりました。当時は、輸出額の90%を、コーヒーが占めていたと言われますが、コーヒー栽培は、一部の大規模な土地を保有する、資本家の生産者によって行われていたため、ほとんどの国民に、利益がいきわたることは、ありませんでした。1970年代には、エルサルバドルは、小さな国土にも関わらず、世界で4番目のコーヒー生産国となります。しかし、コーヒーに依存しすぎたことなどによる、経済の不安定化を背景に、1979年には内戦が勃発。内戦とそれに伴う混乱は、1992年までの長期にわたって続き、これによって、コーヒーの生産量も大きく減少しました。未だに、生産量の十分な回復は見込まれていませんが、その代わりに、より品質の高い、スペシャルティーコーヒーの栽培、輸出に力が入れられています。その流れの中核を担っているブランドの一つが、今回ご紹介するコリオナです。コリオナ農園は、1916年に開拓された、コロンビア農園の一区画として、スタートしました。初代の農園主は、マリア・マグーニャ・メネンデス氏と、その夫、フランシスコ・アントニオ・ジャノスの2人でした。100年以上を経た現在は、5世代目の農園主、ヘラルド・カセレスに受け継がれています。エルサルバドルでは、治安の悪化が問題となっており、田舎のコーヒー農園も、例外ではありません。コリオナ農園では、従業員や地域のコミュニティへ、無料で医療を提供し、最低賃金以上の給与を支払い、子供の教育支援を行うことで、今日まで、農園や従業員への犯罪は起きていません。コリオナ農園で収穫されたコーヒーチェリーは、エルボルボジョン社が所有する、果肉除去施設に持ち込まれ、24時間の自然発酵の後、水洗いされ、ハンモック式の乾燥場、いわゆるアフリカンベッドに寝かされ、16日かけて仕上げられました。そんなエルサルバドルで、近年注目されているのが、パカマラという品種です。パーカスと、マラゴジペを親に持つ、大粒の品種で、エルサルバドルのコーヒー研究機関、ISICによって開発されました。 複雑でジューシーな、トロピカルフルーツフレーバーを持ち、地域ごとに風味が変化することから、ゲイシャ同様に、スペシャルティーコーヒーの、代名詞的存在として、関心を集めています。カップオブエクセレンスなどの、国際品評会においても、何度も優勝や上位入賞を飾る実績を上げています。有名農園が積極的に植え始めたことで、中米全体でもトレンドとなり、中でも北部チャラテナンゴ地域で栽培されるパカマラは、風味特性が際立つことから、世界中のロースターや競技会で使用されています。