BARISTA BOX

Weekly Coffee Commentary.

No.17

Las Flores

Brand Information ☝️"tap"

No.17 Las Flores

国:コロンビア

エリア:サンタンデール県エルピンチョテ地区

標高:1650〜1800m前後

品種:カスティージョ

カフェイン処理:ブレーメンCR3社

生産処理:液体CO2処理

生産者:ヨハン・ベルガラ

プロファイル:ナシ、青リンゴ、カシュー


サンタンデール県エルピンチョテ地区にあるこの農園は海抜1,730mの高地にあり農園規模は14ha、約9万本ものコーヒーノキを栽培しています。オーナーはエディルベルト・ベルガラさんですが、農園管理は息子であるヨハンさんが行っており、若き農園主として活躍しています。2006年にはCOEへ参加し、従来のコーヒー生産から、品質面で差別化ができるトップスペシャルティコーヒーの生産に取り組んでいます。特に単一品種のクロップの生産を得意としており、農園内ではゲイシャ種の他、ピンクブルボン、タビ、ジャワ、マラカトゥーラの栽培エリアを持ち、現在はウシュウシュやシドラなどの品種の製品化に力を注いでいます。


CO2式

ドイツのブレーメンにあるCR3 Coffee Hermsen社が特許を持つこの技術。正しくは超臨界二酸化炭素抽出方と呼ばれます。カフェインレスコーヒーの悩みだった「風味の流出」を極限まで防ぐことができる画期的な方法です。その名の通り、超臨界という状態の二酸化炭素に漬けてカフェインのみを取り出します。では、超臨界とはどういった状態なのでしょうか。自然界にある物質は温度や圧力の条件によって、個体、液体、気体と3つの状態に変化しています。水の場合、温度によって氷、水、蒸気と3つの状態を持っていますよね。超臨界というのは「温度」と「圧力」を加え、液体と気体の両方の特徴を持つ特殊な状態のことです。水のように液体ですが、蒸気のようにふわふわしている、不思議な状態のことを指します。通常、二酸化炭素は気体でしか存在しませんが、温度約31℃の中で圧力約200気圧という凄まじい力を加えることで、超臨界状態になります。この超臨界状態の二酸化炭素を使用してカフェインを除去する方法、それが今回ご紹介する「超臨界二酸化炭素抽出方」です。スチームで加湿して柔らかくなったコーヒー豆が入った容器に、超臨界二酸化炭素を流し込みます。コーヒー豆の中にあるカフェインだけが、超臨界二酸化炭素に溶け出し、他の成分は出てきません。抽出が終わったら、カフェインを含んだ二酸化炭素を別容器へと移し、圧力を下げて気体に戻します。このCo2式は「スイス式」や「マウンテン式」に比べ、カフェインの残留や溶け出した廃液処理の心配が不要であり、カフェイン以外の成分を外に出さないといった点から、人体・環境・味わいのいずれにおいても高く評価されています。設備投資の大きなコストがかかるため、2つのウォーター式に比べて、非常に高価格になってしまうという難点がありますが、それだけの価値はある素晴らしい味わいを作ることができます。ちなみに、使用した「カフェイン入りの二酸化炭素」は、常温常圧に戻すと空気中へ戻っていくのですが、その際白い粉のようなものが残ります。これは「溶け出したカフェインの結晶」で、エナジードリンクに入れられたり、錠剤にして売られていていたりもします。

  • 2月 第1週目 様々なプロセス

No.18

Cajamarca

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No.18 Cajamarca

国:ペルー

エリア:カハマルカ州 サンイグナシオ県 サンペドロ村

標高 : 約1,500m

品種 : ティピカ、カティモール、パチェ他

生産処理 : ウォッシュド

生産者:カハマルカ農園組合

プロファイル:マスカット、ピーチ、カカオ


観光都市としても有名で、かつてはインカ帝国の主要都市として栄えたペルー北西部に位置するアンデスの街・カハマルカ。観光地となっている市街地の標高は2750mと、富士山の7合目ほどで非常に高いですが緯度が低いため気候は比較的温暖です。世界中の旅行者がひしめくクスコにはない開放的な柔らかい雰囲気も魅力的で、街を見下ろすサンタ・アポロニアの丘とその頂上へ続くカハマルカ名物の急な石段を登った頂上からは、アンデスらしい色あせた赤茶色の家並みと、その背後に広がる山々を一望することができます。街の中央に見えるアルマス広場には、インカ帝国時代の皇帝・アタワルパがスペイン人の侵略者たちに捕らえられ、その魂が天上界へと旅立った場所という言い伝えが残されています。そんな歴史深いカハマルカは、年間を通して温暖で気温が安定していること、また、標高が高く、肥沃な土壌であることなど、いくつもの条件が重なり、ペルーのスペシャルティコーヒーの名産地として知られています。カハマルカは、他エリアに比べて大農園が多く生産性も安定していますが、一方で伝統的な農法も継続的に行っています。この地域の生産者は、剥ぎ取って不要になったチェリーの果肉を堆肥にしたり、土の性質に合ったシェードツリー(日陰を作るための樹木)を植えて環境負荷を最小限にしたりと、サステナビリティへの意欲も高く、スペシャルティの名に相応しい取り組みを続けています。

  • 2月 第2週目 麻袋の軌跡

No.19

Montecarmelo

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No.19 Montecarmelo

国:ブラジル

エリア:セラード モンテカルメロ パルミト農園

標高:850-1,250m

品種:ムンドノーボ、カツアイ等

生産処理:ナチュラル

生産者:モンテッサー組合の34農園

プロファイル:オレンジ、ダークチョコレート、マカダミア


世界中で脱炭素が叫ばれ、環境に配慮した活動がさかんに行われていますが、コーヒー業界もその例外ではありません。ブラジル、ミナスジェライス州セラード地域のコーヒー生産地の1つ、モンテカルメロ地区で、脱炭素を柱とした環境保全型コーヒー生産プロジェクトが始動。現地のモンテッサー組合に所属する34農園が、ブラジル初のレインフォレストアライアンスの認証取得を目指して活動しています。モンテッサー組合に属するパルミト農園の農園内における温室効果ガスの排出・吸収のバランスは、-4.04t /ha/年、農園内のコーヒー生産量で換算すると 60キロ麻袋1つあたり、-0.06t/となっています。分析対象農場全体の温室効果ガス排出量は、5.50 t/ha/年で、主な排出原因は合成窒素肥料の使用で全体の約68.9%を占めています。一方、土壌の炭素貯蓄量は、これらの排出量を100%以上相殺することができ、-6.41 t/ha/年のペースで炭素を吸収しているということになります。さらに、コーヒー農園にある樹木の炭素貯蓄量は、年間で-3.14t/ha と推定され、これによりパルミト農園は年間平均-9.55 t/ha/ 年の炭素吸収をしているという計算になります。この結果は、コーヒー生産が大気中の炭素吸収を促進する可能性を示していて、この持続可能性のが世界に認められる価値のあるものにするため、組合一体となった活動は今後も続いていきます。栽培されているモンテカルメロ地区は、高温多湿な夏と、心地よく乾燥した冬という、はっきりとした四季がある地域で、独特の香味が味わえます。1杯のコーヒーを飲むといういつもの行動から、「脱炭素」を感じられる特別なロット。

  • 2月 第3週目 生豆の分類

No.20

Sol De La Manana

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No.20 Sol De La Manana

国:ボリビア

地域:ラパス県カラナビ郡

標高:1,600〜2,000m

品種:カツアイ

精製方法:フリーウォッシュド

生産者:ペドロ・ロドリゲス

プロファイル:ワイニー、ラズベリー、バタースコッチ


ボリビア産のコーヒーのほとんどは、アンデス山脈の東の斜面に広がる、ユンガス地方で栽培されています。このコーヒーはユンガス地方のカラナビ地区にある小規模生産者たちによって栽培されました。肥沃な土壌と標高の高さによってユニークでエキゾチックな風味に仕上がっています。ブラジルやコロンビアといった他のラテンアメリカのコーヒー輸出国に比べ、ボリビアのコーヒー生産量は限られていて、手に入りにくいプレミア銘柄がいくつも存在しています。


ソル デ ラ マニャーナ プログラム

コーヒー栽培は以前から行われていたユンガス地方ですが、コーヒーの木を手入れすることの重要性を理解している生産者はほとんどいませんでした。そのため、収穫時以外は放置されていることもしばしばあり、収穫量は限られていました。ソル デ ラ マニャーナ プログラムは、2014年にペドロ・ロドリゲスさんが始めたもので、経済的に持続可能なコーヒー栽培を目指して、コーヒー栽培に必要知識やノウハウを提供しています。ソル デ ラ マニャーナ プログラムによって、ボリビアのコーヒーの品質は向上し、その独特な味わいで世界に知られるようになってきています。2020年時点で100名以上の生産者たちがプログラムに参加。ペドロさんは、ソル デ ラ マニャーナの創始者であるとともに、ボリビア産のコーヒーの調達、加工、輸出を行うアグリカフェの創設者でもあります。ボリビアの山々から差し込む太陽の光で表したシンボルは、ソル デ ラ マニャーナが地域の人々にもたらした明るい未来への希望を表現しています。ペドロさんは、30年の月日の大半をボリビア産コーヒーを世界に広めるために捧げてきました。ボリビアはスペシャルティコーヒーの栽培にとって理想的な環境をもつ国ですが、長年にわたり農産業は困難に直面してきました。そのため、多くの農家が自分たちの成功や繁栄は難しいかもしれないと考えていました。ペドロさんは、この状況に歯止めをかけるため自ら土地を購入し、子どもたちを農業学校に通わせ、教育用の農園を作りました。そして2014年、「朝の太陽」を意味する「ソル デ ラ マニャーナ」というプログラムを立ち上げました。このプログラムを通して生産者たちにコーヒーの生産方法を教え、高品質なコーヒーを生産できる素地を作ることで、経済的にも持続可能なボリビアコーヒーの発展を目指しています。

  • 2月 第4週目 カッピングに挑戦

焙煎師への質問・ご要望