BARISTA BOX
Weekly Coffee Commentary.
Cajamarca
Brand Information ☝️"tap"
No1:Cajamarca
生産国:ペルー
エリア:カハマルカ州 サンイグナシオ県 サンペドロ村
標高 : 約1,500m
品種 : ティピカ、カティモール、パチェ他
生産処理 : ウォッシュド
生産者:カハマルカ農園組合
プロファイル:マスカット、ピーチ、カカオ
観光都市としても有名で、かつては、インカ帝国の主要都市として栄えた、ペルー北西部に位置する、アンデスの街・カハマルカ。観光地となっている、市街地の標高は、2750mと、富士山の7合目ほどで、非常に高いですが、緯度が低いため、気候は比較的温暖です。世界中の旅行者がひしめく、クスコにはない、開放的な、柔らかい雰囲気も魅力的で、街を見下ろす、サンタ・アポロニアの丘と、その頂上へ続く、カハマルカ名物の、急な石段を登った頂上からは、アンデスらしい、色あせた、赤茶色の家並みと、その背後に広がる山々を、一望することができます。街の中央に見えるアルマス広場には、インカ帝国時代の皇帝、アタワルパが、スペイン人の侵略者たちに捕らえられ、その魂が、天上界へと旅立った場所という、言い伝えが残されています。そんな歴史深いカハマルカは、年間を通して温暖で、気温が安定していること、また、標高が高く、肥沃な黒土の土壌を持っていることなど、いくつもの条件が重なり、ペルーのスペシャルティコーヒーの、名産地として知られています。カハマルカは、他エリアに比べて大農園が多く、生産性も安定していますが、一方で、伝統的な農法も、大切にしています。この地域の生産者は、剥ぎ取って不要になった、コーヒーチェリーの果肉を、そのまま堆肥にしたり、土の性質に合わせて、コーヒーの木を直射日光から守るための、日陰を作る樹木、いわゆるシェードツリーを植えて、環境負荷を最小限にしたりと、サステナビリティへの意欲も高く、スペシャルティの名に相応しい取り組みを続けています。
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10月 第1週目 コーヒーライセンス
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Chocolat
Brand Information ☝️"tap"
No.2:Chocolat
生産国:ブラジル
エリア:ミナスジェライス州サンアントニオ・ド・アンパロ
標高 : 約1,000~1,100m
品種 : ムンドノーボ、カトゥアイ
生産処理 : ナチュラル
生産者:サンコーヒー社(SAEC)
プロファイル:マガダミア、カカオ、プルーン
ショコラを手がけている、サンコーヒー社は、1999年、ブラジル、ミナス・ジェライス州、カンポ・ダス・ヴェルテンテス地域に設立された、協同組合です。創業者は、グアリロバ農園のオーナー、フェルナンド・パイヴァさんで、現在は、エンリケ・カンブライアさんが、代表を務めています。この協同組合には、スペシャルティーコーヒーの生産に焦点を当てた、20の農園が所属していて、年間18万袋ものコーヒーを、安定して生産しています。カンポ・ダス・ヴェルテンテスは、ミナス・ジェライス州の、中心部に位置しています。この地域は、ブラジルの2つの経済圏の間に位置することから、文字通り、流域を意味する名前が付けられました。肥沃な土壌と、豊富な水資源が確保されているのため、貴金属を求めてやって来た、最初の入植者に続いて、早い時期に農業が発展していきました。この地域に根付いた、コーヒーとその生産の出自は、1860年にまで遡ります。サンコーヒーは、生産国のコーヒー輸出業者と、消費国のコーヒー輸入業者を直接結びつける、サプライチェーンを構築しています。高品質なコーヒー生産に焦点を当て、研究機関や、大学と協力して、品質と一貫性の、継続的な改善に向けて、様々なプロジェクトに取り組んでいます。その中の一つ、「品質の発掘と学習プロジェクト」では、農園の環境にふさわしい品種の選択と、その農園で生産された最高品質のロットの選別、スペシャルティーコーヒーの生産の動機付けと、その生産方法の指導を行っています。ベスト・サンカップという、独自のプライベートオークションも開催していて、消費国から絶大な人気を誇っています。サンコーヒーは、「究極のナチュラル」をコンセプトに掲げ、濃密な甘味を引き出すために、収穫タイミングに強いこだわりを持っています。カラカラになった過熟果実ではなく、その一歩手前の、水分が多い完熟果実の多いタイミングを見計らい、大型収穫機を動員します。収穫機の果実を叩き落とす、収穫棒の振動の強弱を、木の状態に応じて細かく調整することで、機械収穫ながら、完熟果実を上手く選別しています。果肉をつけたまま乾かす、ナチュラルプロセスのコーヒーとしては、非常に珍しく、水に浮かべて選別する、フローター選別を行っていません。その理由は、酸化にあります。焼いたコーヒー豆同様、収穫したコーヒーチェリーは、酸素に触れることで、瞬く間に劣化していきます。機械選別の精度を上げることで、フローター選別の時間を削り、いち早く乾燥行程を開始しているのです。現地ではこの方法を、ニュー・ジレトダホーサ、と呼んでいます。これは、収穫したチェリーの熟度が高く、均一性が高い、高品質なロットだからこそできる、非常に珍しい生産方法です。酸化が始まる前に熟成に移行できるため、より強い甘味、濃密な口当たりを表現することができ、このとろける奥深さが、ブランド名、ショコラの由来になっています。また、乾燥中、果実の糖分浸透にムラが出ないよう、果実と果実が上下に重ならないよう、より広範囲にコーヒーチェリーを広げて乾かしています。甘味を作るための大切な行程で、乾燥の進行度が安定し、より均一な商品を作ることが可能になります。ブラジル、ナチュラルのスペシャルティーといえば、ショコラ、と言っても過言ではない、上質な仕上がりを、お楽しみください。
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10月 第2週目 SCAJとは
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Brisas de Amor
Brand Information ☝️"tap"
No.3:Brisas de Amor
生産国:コロンビア
エリア:カウカ県ポパヤン地区周辺地域
標高 : 約1690m
品種 : カスティージョ、コロンビア
生産処理 : ウォッシュド
生産者:コアグロブリサス組合
プロファイル:オレンジ、カシス、ブドウ
高品質なコーヒーが、生産されることで有名な、ウィラ県のピタル市にある、コアグロブリサス組合には、体が不自由であったり、生まれつき、精神的な疾患があるなどの、障害を持った生産者が、15 人ほど所属しています。農園が位置する場所は急斜面で、大変な作業が多い現状がありますが、組合内での勉強会や、生産者同士で情報交換をすることで、互いを助け合い、よりよいコーヒー作りに向けて、日々切磋琢磨しています。彼らが好きなコーヒー作りを、今後も発展させ続け、周囲の人々と一緒に、幸せに暮らしていけるようにと、愛情をこめて命名された銘柄が、「愛のそよ風」、ブリサス、デ、アモールです。マイノリティーとされる人々が、自分の可能性を見出し、人生の選択肢を広げるための後押しが、この一杯から始まります。我々消費国だけでなく、生産国にも、障がいのある方々は一定数いますが、自身のペースで、丁寧に仕事ができるコーヒー栽培は、彼らの生きがいに繋がり、そのご家族にも、笑顔をもたらします。カウカ県は、コロンビアの南部に位置し、アフリカ系の人々や先住民、メスチソと呼ばれる、混血の人々など、様々な民族が共存し、母なる大地の恵みを受け継いで、古くからコーヒー作りに従事してきました。原料は、アンデス山脈に囲まれた、山の奥深くにあるポパヤン地区と、その周辺地域でコーヒー農家を営む、合計25名の生産者によって生産されたものが、ブレンドされています。障がいの有無も、血筋も関係なく、誰もが参加できる、インクルーシブなコーヒーカルチャーは、ここから発展していくことでしょう。
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10月 第3週目 スペシャルティの定義
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Trapia
Brand Information ☝️"tap"
No.4:Trapia
生産国:ブラジル
エリア:ミナス・ジェライス州バエペンジ
標高 : 約1,400m
品種 : イエローブルボン
生産処理 : ナチュラル
生産者:アンドレア・ソウザ・ランジェル
プロファイル:レッドワイン、ラズベリー、グレープフルーツ
トラピア農園を営む夫婦、レナートさんと、アンドレアさんは、元々、IT関係企業と保険会社という、コーヒーとは異なる仕事に従事していました。二人は2005年、引退を機に、夢であったコーヒー生産者として、第2の人生を歩み始めました。農場を購入したとき、彼らは、アンドレアさんの母親が生まれ育った、ブラジル北東部の農場に敬意を表し、同じトラピアという名前に変更しました。農園は元々、バエペンジ市の市長が所有していた土地で、購入した当初は、2万本のコーヒーが植えられる程度の、小規模な土地で、ブラジルの一般的なコーヒー農園としてのインフラは、全く整っていませんでした。時間を掛けて農地を開墾し、現在は、19万本のコーヒーノキが育てられています。農地も70Haまで広げ、コーヒー農園として成り立つ、十分な規模に育ててきました。また現在は、息子のルーカスと共に、スペシャルティーコーヒーの生産に注力し、生産処理を行うための、様々な設備も整え、品質の高いコーヒーが生産できる、素地を整えています。トラピア農園は、地形の起伏が大きく、急斜面の山岳地域においては、手作業で収穫が行われ、平地では機械収穫を行っています。収穫されたチェリーは、農園からほど近い、果肉除去施設、ウェットミルに運ばれ、水に浮かせて、スカスカのチェリーを取り除く、比重選別を当日中に行います。収穫エリアは、トラピア農園内の、タリャウピニェイロと呼ばれる区画で、他の区画よりも日照が良く、成熟の早いエリアです。収穫したチェリーは5日間、アスファルトの上で乾燥した後に、機械を使い、40度の風を2日間当てて仕上げました。その後、50日間ゆっくりと熟成させ、均一な水分値と、生豆の植物組織の安定化、風味の定着が行われています。乾燥方法においては、最新の乾燥機の性能が、非常に良いことから、天候条件に左右される、アスファルトでの乾燥、いわゆるパティオのみでの乾燥にこだわらず、機械式ドライヤーを併用する事で、理想的な乾燥プロセスを再現、コントロールする事に重きを置いて、品質向上を狙っています。トラピア農園は、雇用や環境への取り組みにも熱心です。13人の従業員を抱え、収穫シーズンになると、季節限定雇用で、総勢25名のスタッフで、収穫ピークを迎えています。賃金だけでなく、住居も手当てし、全ての従業員と家族のために、健康と栄養、衛星環境、環境的なケアを促進しています。また、農園には、3つの従業員家族が住んでおり、市営バスを通し、子供たちは地元の学校まで通っています。雇用を大切にすることで、従業員の離職率も非常に低く、スキルを持ったスタッフが育ち、高い品質を維持することができています。また、敷地の30%は保全地域として、自然林となっており、泉や滝などが保全され、環境資源豊かな農園設計がなされて、コーヒー生産の他に、林業やオリーブの栽培、養蜂まで行われています。自然環境を保全していく活動の中で、在来種による自然林を保つことで、野生動物の生息地を守る、という事を、目的の1つとしていて、トラピア農園だけでなく、近隣の農家と、パートナーシップを結び、地域全体として、環境を整えるプログラムを推進しています。
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10月 第4週目 カッピングに挑戦
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